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手の中のプレゼントが次々に違うものに変わっていき、途中音楽が止まったかと思いきや、また流れ出す。それを何度か繰り返した後、次は完全に音楽が止まった。
音楽が止まったということは、今手の中にあるものが自分へのプレゼントになる。俺の手の中にも赤い包装に包まれた袋が。
「あ!レイラ君それ俺が選んだやつ!」
「へぇ〜鷹のプレゼントか。開けてみよ〜・・・!!」
固めの手触りはどうやらケースだったらしく、中からはDVDが5作品入っていた。しかもその内容が、
「俺めっちゃホラー映画好きなんですよ!その5本は俺の中でのゾクゾク度上位5作品です!!」
「・・・わー、ホラー映画嬉しいなー」
「あれ!?もしかしてホラー駄目ですか!?」
そんなことないよー、と返す俺の顔は多分かなり引き攣っていたのだろう。いや、だって何このパッケージだけで既におぞましい感じの映画。ホラー映画好きのオススメってそれ、めっちゃ怖いってことだろ。
文化祭の時に自覚した。俺、怖いの無理。夏の肝試しをした時もかなり散々な目にあった。怖いのが駄目だと自覚してからは、前より更に怖いものを体が拒否しだした気もする。
「うん、でも、折角貰ったから、観るよ」
「そんなこの世の終わりみたいな顔して無理しないで下さいっ」
まあ貰っちゃったし・・・。俺トランプとかゲームでの引きは強いのにな。出来ればカレンちゃんからのT.KRNのマフラーか響ちゃんの最新のワイヤレスイヤホンとかが良かった。この際十六弥くんの嫌がらせとしか思えない、いつ着たら良いのかわからないクリスマス柄のセーターでも良い。
プレゼント交換の後もビンゴゲームやルーレット、ジェスチャーゲームに伝言ゲームとレクリエーションは続いた。5時にスタートしたパーティーも気づけば9時を過ぎている。本当であればこのままみんな泊まっていきなよと言いたいけど、明日から旅行に出かけるので難しい。
「じゃあみんなまた初詣の時に〜」
良いお年をとみんなと挨拶を交わす。というか、もう今年も終わるのか〜。次にみんなに会うのは年明けの予定だから、来年ということだ。何だか変な気持ちだな。
「嵐ちゃん今日めっちゃ眠い〜」
「朝早かったからな」
明日一緒に旅行に出かける嵐ちゃんは今日は俺の部屋にお泊まり。そして明日も今日と同じく早朝出発だから早起きしないといけない。ぶっちゃけ起きれる気がしないんだけど。
「寝坊したら置いてくからな」
「や〜ぁ〜だ〜ぁ〜」
嵐ちゃんに凭れた状態でうとうとし始めた俺に十六弥くんが言い放つ。まあ実際に寝坊したら、担がれてでも連れて行かれるんだけど。それはそれで目覚めた時に、体のどこかしらが痛くなっている可能性が高い。流石にスノボーをする前から体にダメージを与えるのは避けたいよね。
「本格的に寝そうなんでこいつ連れてきますね。 」
「あぁ、明日無理にでも叩き起すからな」
眠気に負けて動く気力がない俺を嵐ちゃんが軽々と抱えて立ち上がる。別に俺がガリガリだからこんなに軽々と運ばれている訳じゃない。嵐ちゃんが馬鹿力なだけ。誰に向けてなのかも分からない謎の言い訳を頭の中でしながら、ゆらゆらと心地よい揺れに眠気が増す。
「昔はああやって寝落ちしたレイラを運ぶのは十六弥の役目だったのにね」
「レイラもレイラで嵐太郎にべったりだしな」
「すっかり嵐太郎にレイラ取られてるじゃない」
「るせぇよ」
俺達が居なくなった広間ではそんな会話がされていた。
ちなみに十六弥の最近の不満は、兄弟でも一番の甘えたのレイラが離れて暮らし始めたというのに、久々に会っても自分では無く嵐太郎にばっか構っていること。親離れしつつある息子に嬉しさより寂しさが勝り、それなのに性格上素直にそれが表せない十六弥。意外と可愛い性格をしている。
「たまにはパパと一緒に寝よって言ってみればいいじゃない」
「いや、俺からじゃなくあいつから言わせたい」
「十六弥ってそういうとこあるよね〜」
大人達はレイラが高校生ということ忘れがちだったりする。
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