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大人の階段を駆け登っていた
びっくりした。らんたろー改め嵐ちゃんは、最初こそ悲しそうな顔をしていたのに、気付けば自信たっぷりの顔で俺を見下ろしていた。
しかもその顔が歩く十八禁な十六弥くんにも負けていないくらいの色気のある表情で、何だかよく分からないけど顔が赤くなる。
しかもさっきから軽く聞き流していたけどこの嵐ちゃんと俺は恋人同士らしい。なんということだ。俺は今までずっと年上のお姉さんが好きだったのに。というか、カレンちゃんが好きだ。そんな俺が知らない間に女の子らしさゼロの、どっからどう見ても男の嵐ちゃんと付き合っているのか。勿論柔らかいおっぱいなんて付いていない。
・・・顔はすごくイケメンだと思う。顔も溢れ出す色気も、何処と無く十六弥くんと似ていて、ぶっちゃけ好きだ。いや、それでもやっぱりおっぱいは付いていないし!!
「カレンちゃ〜ん」
「あら」
訳が分からなくなった俺はとりあえず嵐ちゃんの腕の中から逃げ出し近くにいたカレンちゃんへと抱き着く。いつもだったら抱き着くと丁度目の前がカレンちゃんのおっぱいなのに、今は俺の方がカレンちゃんよりも背が高い。嬉しいような、残念なような・・・。
その後遅めの晩ご飯を食べ、麻紀くんの薬のおかげで熱は下がったけど万全じゃない俺は早めに寝るように部屋に戻された。しかもそこで知ったのが、カエラとサハラと同じ部屋だと思っていたのに、まさかの同室は嵐ちゃんだった。
「どうした、こっちにこいよ」
いやみんなからの話で俺が春から通い始めた?天羽学園でも俺と嵐ちゃんが同室なのは聞いた。しかも俺、めっちゃ嵐ちゃんにべったりらしい。・・・何だか恥ずかしい。
ただずっと警戒している訳にもいかないので、そろりそろりとベッドに座る嵐ちゃんに近づく。ちなみにこの部屋キングサイズのベッドが一つしかない。
別に男同士で一緒に寝ることには抵抗はない。いつも兄弟三人で寝ていたし(今は別々の部屋らしいけど)、十六弥くんと一緒に寝る時だってある。
でも嵐ちゃんと俺は一応"恋人同士"なわけで。16歳の俺がどうかは知らないけど、13歳の俺には少なくとも恋人は今までいない!好きな人がいてもそれは甘える対象であって、別に付き合うとかでは無かった。
「ねぇ嵐ちゃん、俺と嵐ちゃんて、ちゅーとかしてた?」
「キスどころかSEXもしまくってたぞ」
「っな!!!」
またその色気垂れ流しの目でそんな事を言う!!言っとくけど俺、こども!!まだ13歳!!いや、本当は16歳かもしれないけど、中身は13歳だから!!
嵐ちゃんの爆弾発言に完全に固まってしまった俺。だって何を隠そう、自分の知っている限りではまだオナニーすらしていないんだぞ。それがいつの間にか大人の階段を駆け上っているなんて。
「嵐ちゃんの変態!!」
急に恥ずかしくなった俺は急いで嵐ちゃんが座っているのとは逆サイドに回り込み布団の中に潜り込む。布団の外では嵐ちゃんが笑う声が聞こえ、ベッドが軋む音と共に嵐ちゃんも布団の中に入ってきた。そのまま優しい手つきで頭を撫でられると、恥ずかしさでドキドキしていた心臓が心地よく落ち着く。
「今日は疲れただろ。ゆっくり休めよ」
「ん・・・」
何か魔法を使っているかのように、頭を撫でられる度に眠さがやってくる。心地いいそれに身を任せてそのまま瞼をそっと閉じた。
(嵐太郎視点)
反応が初々しく可愛い。つい芽生えた悪戯心でからかうと布団の中に隠れてしまった。それでもいつものように頭を撫でてやると、疲れていたからかすぐに静かな寝息が聞こえてくる。そして無意識なのか、いつものように俺に寄り添うように引っ付き、俺の腕を枕にして寝始めた。
その動作がいつものそれで、今は忘れていても、こいつの中に俺の存在が残っていることを感じられて嬉しかった。
(嵐太郎視点終了)
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