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おかえり
その後も盛り上がりに盛り上がった俺達は結局日付が変わるまで熱をぶつけ合った。・・・流石にやり過ぎでしょ。
「嵐ちゃん最初の遠慮はどこにいったの」
「あんな誘われ方したら止まらねぇよ」
珍しく嵐ちゃんも疲れたのか裸のまま布団の上に転がって脱力している。そりゃ体力の無い俺の代わりに嵐ちゃんはほとんど動きっ放しだからね、主に下半身が。
「つかお前、いつの間にか記憶戻ってるだろ」
「気持ち良くて気付いたら戻ってた」
「まぢかよ・・・さっさと襲っときゃ良かった」
まあ実際何がきっかけだったかは分からないけど、俺の記憶は無事に戻っていた。ぶっちゃけ記憶が無い間もいつも通り嵐ちゃんと一緒に居たし、キスも普通にしていたから、違いらしい違いといえばいつもよりキスがフレンチだった事くらいだったような気がする。
それでもやっぱり嵐ちゃんの事を忘れてしまっていたのは申し訳ない。そしてそんな状況でも変わらずそばに居てくれた事が嬉しい。
「俺が嵐ちゃんのこと忘れてて悲しかった?」
「まあな。でも見た目はまんまだし、中身も言うほど変わらないし、行動の所々に面影があったから意外と平気だったな」
見た目はともかくそれは俺の中身が13歳の時からあんま変わってないということか。失礼な。そういえば、
「サンタの衣装着てないけど今ので昨日の約束果たされた?」
「あぁ、満足した」
「それは良かった」
あぁ〜今めっちゃ満たされている。身も心もほくほく。やっぱり嵐ちゃんといるとそれだけで満たされるなぁ。
それにしても俺の防衛本能ちょっと強すぎじゃないかな。ちょっと遭難してちょっと熱があってちょっと寒さに凍えたくらいで、記憶をふっ飛ばしちゃうなんて。
「この時間も風呂行けるのか?」
「貸切だし二十四時間入れるはずだよ」
流石にべたべたの体のまま寝る気にはなれず、嵐ちゃんと二度目の温泉へと向かう。ちなみに布団はギリギリのところでタオルで死守してくれたので無事。流石。
「あ"〜頭いてぇ」
「あれ〜十六弥くんもお風呂?」
昼間と同じ外が見える大浴場に向かうとそこには先客がいた。大きな湯船にだらっと浸かる十六弥くんだ。
「日本酒はダメだわ」
どうやらアルコールを抜くために熱い湯に浸かりに来たらしい。常磐家の人間はやたらと酒が強い人ばかりで、その中でも断トツと言える十六弥くんがこの状況とは珍しい。そう言えば普段は洋酒しか呑んでいるのを見たことがないかもしれない。
「つかレイラ、お前戻ったのか」
「えっよくわかったね!さっきすっかりすっきり全部記憶戻ったよ〜」
よくこの一瞬で俺が元に戻ったのに気付くなぁ。そう言えば戻ったことをみんなに早く言った方がよかったかな。心配してくれてたし。いや、でも今は夜中の一時。寝てる人も多いだろうし朝でいいかな。
「雰囲気が全然ちげぇんだよ。急にえろい雰囲気出しやがって。・・・何やってて戻ったかは聞かないでやるよ」
・・・わーお。なんと言うか、自分の親に言われるとなかなか複雑な気持ちになるな。でも常にえろいオーラを振りまき続けてる十六弥くんには言われたくない。第一十六弥くんとカレンちゃんの子供なんだから、俺からだってえろさが滲み出たって仕方ないと思う。
その後三人で仲良く湯船に浸かり、部屋に戻った頃には夜中の二時を回っていた。
「明日ってか今日だけど、起きれるかな」
「騎麻あたりが起こしにくるだろ」
あ、嵐ちゃんも起きる気ないな。
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