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これを幸せのサンドイッチと呼ぶ

「あ、レイラ寝そう」 前後から抱きしめられている状態は程よい圧迫感と暖かさで心地いい。旅行の疲れとティノとの遊び疲れで今なら一瞬で寝れる。 「昼寝する?」 「ん・・・」 元々部屋の前まで来ていたので中に入り、そのままころんとベッドに転がされる。布団のふかふかを堪能していると、両サイドからばふっとベッドが沈んだ。 「俺も昼寝しよっかな〜」 「俺も」 キングサイズなので三人で寝ても何の問題も無い。後ろから抱き込まれるようにサハラに抱きしめられ、前からはカエラが腕を回してくる。幸せのサンドイッチ再び。包まれる暖かさとほんのり甘い香りに安らぎまくった俺は一瞬で眠りに落ちた。 どれくらいの間眠っていたかはわからない。眠りに落ちる前と変わらない両サイドからの暖かさに、カエラとサハラもまだ眠っているようだ。まだ眠気が治まらない俺も再度眠りにつこうと、浮上しかけた意識をまた沈めようとした・・・が、 何だか周囲に気配を感じ、ゆっくりと重たい瞼を持ち上げる。 「・・・なにしてるの?」 「いや、うちの子可愛いなと思って」 「ね」 目を開けるとすぐに飛び込んできたのはどアップの十六弥くんとカレンちゃんだった。ベッドサイドから乗り上げてこちらをのぞき込んでいた二人。いやいや本当になにしてたの。 「もうすぐ晩御飯の時間だから呼びに来てみたら、仲良く三人で寝てるから」 「可愛いことしてんなーって見てた」 そう言って十六弥くんが大きな手で頭を撫でてくる。話し声で目が覚めたのか、眠っていたカエラとサハラが横でゆっくりと身動ぎをした。そんな二人を見てカレンちゃんがふふふと微笑む。うん、今日もうちの家族は平和だ。 「そろそろ起きて起きて〜もう晩御飯の時間よ〜」 その後はカレンちゃんに急かされるようにして起こされ、ぼーっとする間も無く十六弥くんに部屋から出された。そのまま五人揃って食事の用意がされている食堂に向かうと、すでに俺達以外は揃っている。しかもその中でも柚乃と並んで座る和紗と愛紗は寝起きの俺達以上に眠そうだ。 「どうしたの二人共」 「この二人ったら帰ってきてからもさっきまでずっと遊んでたのよ〜」 「今になって疲れて眠くなってきたみたい」 柚乃と風月が若干呆れた様子で答える。只でさえ旅行と移動で疲れているはずなのに、休憩もしないで遊んでいたら、そりゃ疲れるだろうよ。 と、言いつつ実は俺もまだ眠い。元々体力のある和紗達と違い、自慢じゃないが俺は体力が無い。だからちょっと昼寝したくらいじゃぶっちゃけ足りない。今夜はよく眠れそう。あぁ、でも今日は久々に嵐ちゃんが居ない。 そういえば一人で寝るのは夏休みに本家に帰ってきた時以来? 夜になってとりあえず自室で眠りにつこうとした俺は、まさかのまさか、寝れなかった。いつも寝る時に隣にある温もりがないだけで寝れないなんて。いつでもどこでも寝れるのが俺の特技の一つだったのになんということだ。 「で、俺のとこに来たのか」 眠いのに寝れないということに絶望を感じた俺は今、十六弥くんとカレンちゃんの部屋に来ている。 「・・・だめ?」 「おいで」 ベッドの上で横になり本を読んでいた十六弥くんが自分の横をぽんぽんと叩いて促す。お許しが出たので勢いよく十六弥くんの横にダイブした。 「暴れるな」 「いてっ!!」 叩かれた。

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