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楽しみがいっぱい
今朝は十六弥くんと、いつの間にか女子会から戻ってきていたカレンちゃんの二人に挟まれて目が覚めた。ぶっちゃけ自分でも16歳になって親と同じベッドで寝るとは思っていなかったけど、落ち着くし安心するし熟睡出来るしで、控えめに言っても最高。嵐ちゃんが居ない日は十六弥くん達の部屋で寝ようかなと真剣に考える程には良かった。
それにしても、これからの一週間は忙しい。まずは年末の忘年会。これはTOKIWAのグループで行うもので、とにかく規模がでかい。勿論数十万人単位でいる社員が一つに集まることは不可能。なので忘年会は全世界の至る所で開催され、その会場を毎年順番に回っていく形をとっている。それが今年は日本の番なのだ。
ぶっちゃけ忘年会楽しみ。TOKIWAの社員はみんなノリが良くて面白い。そしてなにより十六弥くん達についていける人間というだけで、めちゃめちゃパワフル。楽しくないわけが無い。
なのに、
「熱が下がらないと参加させないからな」
「下げる!!」
「頑張れ」
実は絶賛熱でバタンキューしている俺。あんなに昨日は熟睡出来たのに、やっぱり旅行での遭難や疲れが響いたみたいだ。残念な程体力の無い自分にがっかり。しかも体調不良のせいで食欲の落ちて意図せずダイエット状態。このままでは年始の恒例行事の一つである身体測定で悲惨は結果を出してしまう。俺のプライドのためにもこの年末の一週間は増量に力入れないといけないのに。
「頭痛い〜気持ち悪い~」
「はいはい、レイラちゃん体調悪いのに無理して食べないの」
ちびちびとカロリーを摂取していた俺の手からモンブランが奪われ、代わりにもふもふの白熊の抱き枕が降ってきた。抱き枕を渡してきた張本人である柚乃はというと、困った顔をして俺から奪ったモンブランをぱくぱくと食べている。・・・柚乃、モンブラン好きだもんね。
部屋にいても一人じゃ寝れないのでみんなの集まるリビングのソファに転がっている。疲れから来る熱なので特に喉や鼻には支障はないけど、頭痛と気だるさが半端ない。
忘年会の後も新年には常磐家の新年会に学園のみんなとの初詣、嵐ちゃんちにも挨拶に行って、その数日後には学校が始まる。しかもその間を縫ってカレンちゃんにT.KRNの新作のモデルも頼まれている。
つまり寝込んでいる場合じゃないのだ。
「はいは〜い、大人しく寝ないと良くなるもんも良くならないぞ〜」
「っ!!」
ソファから起き上がろうとした瞬間後ろからガバッと抱き着かれ心臓が飛び出るかと思った。そのまま体重をかけられ再びソファに沈み込む。
「〜っ、麻紀くん重いぃ〜!」
俺を抱き込んだままソファの背もたれ側から雪崩込むように一緒にソファに寝転がった麻紀くん。
「ほ〜ら寝れないなら俺が添い寝してあげるから大人しく寝なさい」
「寝る!寝るから!」
なんとか俺の上にかけていた重みから解放され、大人しく一緒にソファに転がる。普段は天然ボケボケの麻紀くんだけど、意外と強引なとこがあるのを忘れていた。
「午後も熱下がらなかったら点滴打つからね」
「!!!」
その言葉だけで全身の血の気が引いて体温が下がった気がする。俺がホラーよりも更に苦手な注射を出してくるとはなんとえげつない・・・。
麻紀くんの笑顔の脅しにドキドキしていたのに、背中から伝わる体温のおかげであっさり眠りについた。そして目覚めた時にはすっかり熱も下がっていたのでめでたしめでたし。
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