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レイラちゃんは美少女なのだ!

「えぇーっなになに!どしたのレイラかわいーっ」 着替え終わるとすぐ側で待機していたカエラがテンション高く抱き着いてきた。二人は今日の常盤家のドレスコードであるデザイン違いのクリーム色のセットアップ姿。そして俺はというと、 「うん、妹もアリ」 「・・・出来れば弟のままでいたいかも」 クリーム色の ワ ン ピ ー ス(ミニ)。しかも髪色に合わせてロングのウィッグまで用意されていた。ぶっちゃけ自分で言うのも何だけど、めっちゃ美少女。まぢ美少女。だって俺カレンちゃん似だし!? 満足そうに頭を撫でてくるサハラに何とも言えない気持ちになる。出来れば弟のままでいさせてください。 グダグダしていても仕方ないからそのままの勢いでステージに上がる。今から俺達が披露するのは"アカペラ"。ちなみに練習期間は、俺が寝込んでいたから一日。それでもどうにか披露出来るレベルには持っていけたから問題ない。だって音楽は俺達の得意分野の一つだからね! 「はーい!俺達が先陣切っていっきまーす!!」 会場内からは"いいぞいいぞー!" "やれやれー!"と歓声があがる。みんないい感じに出来上がってるなー。 「つか、やっぱレイラは女の子だったのか!!」 「違うから!!」 ゲラゲラ笑う声が会場中から沸き起こる。本当何で俺だけ女装なんだか。多分特に理由は無いんだろうけど。 「one,two,three・・・」 カエラのとるテンポに合わせて歌い始める。元々声質の似ている俺達なのでそれぞれ三人で自分の担当するパートを歌っているのに、 不思議な声の重なり方をする。まるで一人が歌っているような、それでいてそれぞれの特徴のある声が会場中に響く。 その後も入れ替わり立ち替わりでステージに次々と上がる人を眺めながら忘年会は続いた。楽しみにしていた騎麻のモノマネが、まさかの人気のコメディ映画のキャラクターのマネで、しかも予想以上の出来に笑いが止まらなかった。 「なんだ、もうおネムか」 隠し芸大会からカラオケ大会、ゲーム大会と次々にイベントが入れ替わり、気づけば夜中の12時を少し過ぎた時間。お腹も満たされてるしはしゃぎ疲れたので、次にくるのは勿論眠気。 「ちょっと疲れた〜」 ソファに座り込んで会場をぼんやり見渡していたら何処からともなく再び十六弥くん。俺を横に押しやり隣に座ってくる。そのまま少し強引に頭を引き寄せられ、十六弥くんに凭れかかった体勢で頭をぽんぽんと撫でられる。あぁ、そんなことされたら更に眠気が・・・。 「もうすぐカエラ達戻ってくるから眠いなら寝な」 「ん~・・・」 確かにずっと十六弥くんを独占する訳にもいかないけど、カエラ達がすぐに戻ってくるなら眠ってしまおうかな。でも折角の忘年会、最後まで楽しみたい気持ちもある。いや、でも、隣の十六弥くんの体温が温かくてやばい。 俺の心の葛藤とは裏腹に瞼がゆっくりと下がっていく。あぁ、今年も朝まで起きていられなかったなぁ〜・・・。 「あれ?レイラ寝た?」 「まあ病み上がりだからな」 「十六弥君代わるよ」 その後すぐに戻ってきたカエラとサハラが十六弥に代わりレイラを抱え直す。そしてその30分後、ソファで仲良く引っ付いて眠る三つ子の姿に会場中が和んだ。

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