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今年もみんなで楽しく
「じゃ、そろそろおみくじ行っとくか」
再度集合した常磐家アンド結城家プラス要凌。どこで買ってきたのか酒の小瓶を片手に上機嫌な十六弥くん達や、両手に屋台の品を抱える俺達と、新たな歳下の要と凌に早速絡みに行く酔っ払いの凛ちゃん。
平均身長が明らかに周りから飛び抜けている上に、その整った見た目のせいで周りの視線を集めまくっている。が、それを気にする者はいないのでみんな自由気まま。なかなか面白い光景が広がっている。
「でもおみくじって何のために引くの?」
「今年の運を占うためだよ。レイラ君知らずに引いてたの?」
日本でお正月を過ごす時には毎回引いているけど、おみくじとはそういうものなのか。いや、でも、
「おみくじって大吉しかないでしょ?」
「え?」
「俺大吉しか見たことないもん」
今まで数回しかおみくじを引いたことは無いけど、それは全て大吉だった。それはカエラやサハラもだし、
「十六弥くん達も大吉ばっかだったよ?」
「そういや今まで大吉以外引いたことないな」
「そういえばそうだな」
「大吉って随分確率高いのね」
話を聞いていた周りのみんなもうんうん、と頷く。みんな大吉なら占いにならないんじゃないかな。もしかして、良い結果でモチベーションを上げるためとか?
「え、常磐家って占いの結果すらハイスペックなの」
なんでかショックを受けている凌のことは気にせず、まずはみんなで本殿への参拝者の列へと並ぶ。10分程並んでやってきた俺達の順番。代表で十六弥くんと晴さんがそれぞれ鐘を鳴らす。二礼二拍手一礼?見様見真似でそれをし、願い事を考える。
(みんなと毎日楽しく過ごせますように)
「みんなと毎日楽しく過ごせますように」
・・・・・・・・・え。
「俺今口に出てた?」
「いや?お前が考えそうなこと言ってみた」
まぢか。俺が考えてた事と全く同じ言葉が聞こえてきて驚いた。隣ではドヤ顔の嵐ちゃんがこちらを見下ろしている。
・・・みんな、楽しく過ごしたいよね?
「嵐ちゃんは?」
「ん~?」
意味深なニヤニヤ顔でこちらを見てくる嵐ちゃん。あ、これ多分ろくでもないこと考えてる。見た目はクールで色気むんむんの嵐ちゃんだけど、たまにびっくりするくらいしょうもない事を考えている時がある。
ニヤニヤかつ色気のある顔が近づいてき、周りに聞こえないように耳元に手を当てられ、そっと教えられた願い事の内容に呆れた。
「レイラとたくさん気持ちいい事が出来ますように」
「・・・嵐ちゃん」
嵐ちゃんはえろい事ばっか考えてるから見た目にまでえろさが溢れ出てきたに違いない。俺は今でも十分過ぎるくらいには満足しているんだけど。嵐ちゃんの言う"たくさん"がどのくらいなのか気になる。もしかしたら俺の体力が増えるように願った方が、嵐ちゃんの願いは叶うんじゃないかな。
その後みんなでおみくじを引いたけど、やっぱり結果は大吉だった。つまらない。
「いやいやいや!全員大吉っておかしいから!!」
何故か大吉を引いたのに頭を抱えている凌。良い結果なのに何をそんなに悩んでいるのか。
「え、何、常磐家と一緒にいると運が上がるの?むしろここで運使い果たしてるとか??レイラ君達から離れると災難ばっか訪れるとか!?!?」
「おいおい俺らは座敷童子かよ」
若干暴走し始めた凌に思わずつっこんだ。
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