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越えられない壁
「おっ、俺去年より6センチ伸びた」
「私も4センチ伸びてた。真斗は?」
「12センチ」
「「流石成長期」」
みんな身長伸びてるなー俺も伸びたけどねー絶賛成長期だもんねー去年より16センチも伸びたもんねー遂に俺も180センチの壁突破しちゃったしー?
「・・・おい、何でこいつ拗ねてんだ」
「十六弥君~助けて~・・・」
「レイラこっちおいで・・・」
別に拗ねてないしーカエラとサハラが俺より大きかったこととか気にしてないしー測る前からわかってたしー・・・でも、
「悔しかったんだな」
「俺めっちゃ伸びたのに~っ」
「そうだな伸びたな」
「カエラとサハラもめっちゃ伸びてたぁぁ~っ」
十六弥くんにしがみついて半泣き状態の俺。だってこんだけ伸びたらそろそろ二人との身長差も無くなるかなって思ったし!別に身長に拘ってるわけじゃないけど、ちょっと期待しちゃってた分現実に落ち込んだ。
首元に顔を埋める俺の頭をポンポンとあやす様に叩く十六弥くんと、その様子をおろおろしながら見守るカエラとサハラ。
「なんだレイラはまた兄貴達に追いつけなかったのか」
珍しく優しい十六弥くんにあやされて機嫌が直りかけた所で鴻來くんのこの発言。また十六弥くんにしがみつく。
「何、レイラんなこと気にしてたのか。お前が他より小さいのは昔っからだろ」
「父さん・・・ちょっとくらいはフォローしてやれよ」
その後拗ねることに疲れた俺は機嫌を取り直して今はみんなとお雑煮を食べている。別にみんなより小さいのが嫌な訳ではないのだ。レイラくんの魅力はかっこよくて、かつ、可愛いことだから。うんうん。
「ねーティノにもお餅あげていい~?」
「ダメ。喉詰まらせると大変でしょ」
「ダメだって~」
膝の上に乗っているティノを撫でる。お正月はお雑煮だろという鴻來くんの希望で初めて食べたお雑煮。割りと好き。
こうやってみんなで揃ってまったりするのは久々で嬉しい。でも冬休みは残り一週間。来週には学園が始まるから、また一旦離れ離れの生活が始まる。寂しいけど、学園のみんなに会えるのも楽しみで、冬休みが終わって欲しくないような終わって欲しいような複雑な気持ち。
昨日は久々に嵐ちゃんに会えたけど、この半年ちょっとが常に一緒だったから、寝る時に嵐ちゃんがいないのが寂しい。スノボー旅行以来十六弥くんとカレンちゃんの部屋や、カエラやサハラの部屋で寝ているけど、そろそろ嵐ちゃんと一緒に寝たい。
俺は寂しがり屋だし、甘えん坊なのだ。
あともう一つ問題が。そろそろ俺の下半身の我慢が出来なくなりそう。ん~、考えると少しムズムズしてきた。元々人より性欲は薄めだと思っていたんだけど、嵐ちゃんのえろいオーラにあてられ続けたからかな。今では人並みかそれ以上にそういう欲があると思う。まあ、健康的だよね。
しかし基本的に近くのものに抱きついて眠るので、一緒に寝ればその餌食になる。そうすると生理現象だから仕方ないんだけど、レイラくんの元気なレイラくんを押し当てる形になるのが恥ずかしい。みんないつ処理してるんだろ。欲求不満でもやもや。
お雑煮を食べた後は常磐家開催バドミントン大会。羽根突きでは無くバドミントン。大人も子供もみんなで庭を走り回った。おかげで冬なのに汗だく。バドミントンってかなりハードなスポーツだよね。
でも、力尽きるまで走り回ったからか欲求不満の変なもやもや感は疲労に乗っ取られた。めでたしめでたし?
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