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(騎麻視点)

いや~まいった。本当にまいった。昼間に貴一が写真を見せた時に、あ、これまずいやつか?とは思ったけど、本当にまずかった。 あの時の嵐の顔は初等部から一緒にいるが、過去のトップ3に入るくらいの極悪人面だった。 そして夜に俺の部屋に乗り込んで来たレイラは、初めて見る程負のオーラを纏った無表情。しかも軽く話を聞いたら、我慢していたものが壊れた様に身動き一つしない状態での号泣。 も~二人共お兄ちゃんを困らせるんじゃありません!! ・・・まあ、二人の気持ちはどちらもわかる。 モデルという仕事を否定はしないが、恋人として内容を選んで欲しい嵐。嵐の言いたいことはわかるが、モデルの仕事へのプライドのあるレイラ。 「よしよ~し、落ち着いた?」 「ん」 抱き寄せていた形の良い頭をよしよしと優しく撫でる。滝のように流れていた涙は止まっているけど、まだうるうると瞳は潤んでいる。うちのうさぎさんは涙腺が弱いな~。 身長も伸びて最近は大人っぽさが出ていたけど、泣いた後の顔は小さい時のままで、ちょっと笑ってしまう。可愛い。 「もう遅いけどどうする?今日はこっちで寝る?」 「・・・騎麻と寝たら、嵐ちゃんもっと怒るかな」 あ~確かに。今の状況では更に火に油を注ぐ状態になるかもしれない。嵐からすると俺はレイラの従兄弟というよりも、嵐の友達という意識の方が強い。そうなると自分の恋人と友達が一緒に寝るというのは、あまりよろしくはないだろう。 かといって今の状態でレイラを部屋に戻すのも良くない気がするし、人の体温がないと寝れないというハイパー甘えん坊のレイラを一人で寝かすことも出来ない。 考えているうちに、またレイラの紫の瞳から涙が零れそうになる。 「レイラ、一旦お風呂で温まっておいで。着替えとか用意しとくから」 「・・・ん」 レイラを風呂場に見送り、すぐにiPhoneを手に取る。呼び出し音の後に今まで聞いた事が無いほどの不機嫌な声が聞こえてきた。 「もしもし、嵐?」 『・・・レイラそっちにいるのか?』 「いるよ」 不機嫌そうな声なのにその奥に心配の色が混ざっているのが伝わる。心配する位ならさっさと仲直りしろよというのが本音だけど、今は言わないでおいてあげよう。 「今日はレイラこっちに泊めるから」 『寝る時は』 「一緒に寝るけど文句言いたければ早く仲直りしなよ」 『・・・わかった』 ・・・言わないつもりがついぺろっと言ってしまった。だって、お互いがお互いを気にしまくってるなら、本当喧嘩なんかしなきゃいいのに。まあ、それは本人達が一番思ってるんだろうけど。 「早めに仲直りしなよ」 『・・・悪いな』 通話の終わったiPhoneをテーブルに置く。とりあえず今日の所はなんとかなりそうだけど、早めに解決させないときついな~。 「騎麻~」 「あ!ごめん忘れてた!!」 風呂場から素っ裸のレイラが出てきたことで、着替えを出し忘れていたことに気付いた。 (騎麻視点修了)

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