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秘密の話
「は?お前それでテンション低いのかよ」
昨日のマラソン大会の話が思いのほか俺にダメージを与えたらしい。次の日になってもダメージを引きづっていると、風邪でも引いたのかと勘違いした要に心配された。でも原因を聞いたら一瞬で放置に対応を変えてきた要。もう少し心配して欲しい。
要の塩対応に少し膨れながらも、実はさっきから気になっていた教室の中央付近へと目を向ける。そこには、
「ねぇ、凌どうしたの?」
「どうもしないんじゃないか?」
そうかな・・・。朝学校に来た時から何故かそわそわしていて落ち着かない様子だった凌。今も授業が始まるのを待ってるだけなのに、なんだか落ち着かないみたいに見える。でも要はいつも通りだって言うし。気にし過ぎかな。
・・・・・・・・・いや、やっぱりおかしい。
その後も休み時間に俺達の元に来た時もそわそわしていたし、授業中も集中出来ていなくて注意をされていたし、絶対いつもと様子が違う。
「凌今日どうしたの?」
「え!?な、なにが!?」
「いや、なんか朝からおかしいじゃん。ずっとそわそわしてるってか、落ち着かない感じ」
そんなことないと言うけど、その声すらちょっと裏返っていて何かがあるのは一目瞭然。
「凌」
「な、なに要!?」
ずっと何も気にした様子のなかった要が急に声を掛けると、凌が大袈裟なほどに反応した。え、本当なに。
「美味かった」
「!!」
要の言葉を聞いた途端に凌の周りに花が咲いた。いや、実際には咲いてないんだけど。ほわわ~んって。俺には花が見えた。
つか美味かったってなに。チョコ?凌は要にあげたの?いや、みんなにあげるとか言ってたけどさ。今の反応は・・・・・・・・・え、そういうこと?
なかなか頭がついていかない。
「ねぇ待って、二人付き合ってるの?」
「いや?」
「つ、付き合ってないよ!?」
・・・じゃあなんでそんなに凌は挙動不審なの。よくわからないけど俺を仲間外れにするのはやめてほしい。
予鈴が鳴り、凌が慌てて席に戻っていく。結局二人の今のやり取りの真意がいまいちわからなかった。何かがあるのは一目瞭然なのに、俺だけ知らないのは何だか寂しい。言っとくけど寂しがり屋だぞ。
「レイラ」
「・・・なに要」
「わかりやすく拗ねてるな」
そう言った要に俺の膨らんだ頬っぺたをつつかれる。更に頬っぺたを膨らませると何故か笑われた。
「今はまだ付き合ってはないけど、今後は未定」
「!」
「近いうちに落とす」
要のまさかのカミングアウトにもう少しで大声を出すところだった。あぶないあぶない。え、しかも要が落とす方なの?あの挙動不審な感じからして凌がそちら側かと思ったのに。
「いつから?」
前の扉から教師が入ってきたのを確認しつつ小声で尋ねる。だって今まで一緒にいたけど要が凌をそういう意味で好きだなんて聞いたことがない。
「中一から。あいつ俺の好みのど真ん中」
ま じ か !
中一からってつまりは要は三年前から凌が好きなのか。全く気づかなかった。だってそんな素振りなかったよね?
それに、凌は趣味はあれだけど中身はノーマル。女の子が好きだと前に言っていた。でもさっきの反応からすると凌は確実に要を意識している。まぁ、俺も今までノーマルだと思ってたけど今は嵐ちゃんと付き合ってるんだけど。
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