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あれ?予想と違う
「あ、あの!」
呼び止められた先にいたのはあまり見覚えのない生徒。全く見たことが無いという訳では無いけど、多分話したことはない。身長は俺と同じくらいか、ちょっと高め。全体的に色素が薄く少し中性的な見た目で、大人しそうな雰囲気の生徒だ。
何だかちょっと顔が赤いのは今がマラソン大会の最中、だからでは無いんだろうな。
別に俺は鈍感ではない。
「急に話しかけて、こんなマラソン大会の途中に、ごめんね・・・。でも!今しかなかなかチャンスは無いかなって」
目の前にいるこの生徒はきっと俺の事が好きなんだろう。自分で言うのもなんだけど、ぶっちゃけ告白は数えきれないくらいされた経験がある。緊張した様子で周りを確認しながら話す姿が一生懸命で、マラソン大会の最中だけど、しばらく足を止めてもいいかなと思えた。
「ぁ、あの俺!」
「うん」
「俺、
レイラ君が結城先輩とイチャついてる姿が大好きなんです!!」
「・・・・・・え?」
・・・ちょっと予想してた言葉と違う。
嵐ちゃんと、イチャついてる俺?いや、そりゃイチャついてることが多いと思うけど。普通誰かとイチャついてる姿って、嫌なんじゃない?ほら、嫉妬とか。
でも目の前の生徒は違うみたいで、
「普段から綺麗な見た目に対してのゆるっとした少し気だるげな雰囲気とかも好きなんだけど、先輩が一緒にいる時の甘えた仕草とかなんだかリラックスした猫みたいで本当に可愛いなって!」
「先輩と距離感が友達とかより近いのとか、頭撫でられて気持ち良さそうにしてるのとか、眠そうな時に先輩に頭ぐりぐり擦り付けて甘えてる所とかも可愛すぎて、やばい」
急に熱く語りだした内容に、俺は羞恥心で死にそうです。いや、多分全部実際に俺がやってる行動なんだろうけど、改めて言われると恥ずかしい。というか、しっかりと観察されてたとは・・・。
「いやだって好きな子いたらついつい見ちゃうでしょ」
「見すぎだよ~・・・」
俺今絶対顔赤いよね。あ"~めちゃくちゃ恥ずかしい。恥ずかしさで蹲って顔を隠す俺の正面に、同じくしゃがみ込んで「可愛いな~」とか呑気に言いながら覗き込んでくる。やめて。
「あれ、レイラ?」
「おい大丈夫か?」
急に声を掛けられ事に反応して顔を上げると、そこには騎麻と嵐ちゃんの姿が。どうやら俺達が休憩兼告白(?)タイムをしていた間に、時間差でスタートした二年生組に追いつかれたみたい。ゆっくりし過ぎたなぁ~。
「バテた?もう走れない?」
「顔赤いぞ、ちゃんと水分取ったか?」
さっきまでの俺の羞恥心プレイを知らない二人が心配そうに近寄ってくる。
「ごめん、大丈夫。ちょっと休憩してて」
「すみません俺が呼び止めちゃって」
「君は?」
あまり関わりがない生徒に不思議そうな顔をする二人。今の状況は、なんて説明すればいいんだろう。
流石に嵐ちゃん目の前に告白(?)してましたとは言いづらいよね。
「今レイラ君にいかに俺がレイラ君と結城先輩を好きかを告白してて」
「「・・・・・・は?」」
言った!!この人言った!!!しかも俺だけじゃなくて嵐ちゃんも好きなのか!!!!!
「嵐ちゃんあげないよ!?」
「いやいや先輩だけじゃなくてレイラ君も一緒が良くて」
「俺もだめ!!!」
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