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特別な日
卒業式が終わると一週間程の春休み。俺と騎麻、真斗はいつものように常磐の本家に帰っていた。ティノと思う存分遊んで、久々に会ったカエラとサハラに全力で甘えて、いつも通りの休暇を楽しんでいる。
でも今日は本家の中がいつも以上に賑やかだ。それはー、
『 カエラ、サハラ、レイラ!誕生日おめでとうーーーー!!!!』
そう今日、4月2日は俺達の誕生日!!
いつもは誕生日といえば十六弥くんとカレンちゃん、そして誕生日に合わせて世界中を旅している鴻來くんとリディアちゃんがやって来て家族の少人数で祝う。勿論みんなからのプレゼントやお祝いのメッセージは届くけど、大規模のパーティーを開いたりはしない。家族でゆったりお祝いするのだ。
でも今年は本家に住んでいる亜津弥くんと華南ちゃん、騎麻と風月と真斗も一緒。いつもより賑やかな誕生日パーティーだ。
「和紗達が自分らだけ行けないの嫌だって相当ごねてたらしいぞ」
「まあ向こうは今もう新学期始まってるから仕方ないよ」
元々日本とアメリカでは学校の休みのサイクルが違う。俺達がたまたま日本の学校に通うことになったから今年は騎麻達が一緒に祝ってくれるのだ。毎年プレゼントや連絡をくれるだけで十分嬉しい。
「ほら、これは俺達からのプレゼントだ」
「気に入ってもらえるかしら」
鴻來くんとリディアちゃんが一人一人にプレゼントを渡していく。二人のプレゼントは実は毎年決まっている。
「わ!今年はバングルだ!」
「やっぱ二人の作るアクセサリーのデザイン好きだなー」
「裏の刻印も見てみて!」
アクセサリー好きの俺達に毎年デザインから考えた手作りのアクセサリーをプレゼントしてくれる二人。しかもカエラとサハラ、俺とでどれも少しづつデザインが違う、正真正銘の世界に一つのもの。
「去年ボツワナに行った時にいいダイヤが手に入ったからそれを使ってつくったのよ」
「ダイヤはお前らの誕生石だからな」
嬉しい。早速お気に入りのアクセサリーのラインナップに殿堂入りだ。
その後もみんなからのプレゼントを次々に貰い、俺達の周囲はプレゼントの小さな山が出来ている。どのプレゼントもみんなが俺達を思って選んでくれたのかと思うと嬉しさが倍増だ。
そして最後に渡すのは俺達から十六弥くんとカレンちゃんに向けてのプレゼント。
「二人とも俺達のパパママになってくれてありがとう」
「また俺達家族の歴史の新しい一年がスタートだね」
「これまでもこれからもずっと愛してるよ」
俺達が生まれた今日は二人が親になった日でもあり、夫婦から家族になった日でもある。俺達に幸せな日々をくれてありがとう。
「沢山祝って貰ったか?」
「うん!」
「じゃあ次は俺の番だな」
翌日の4月3日の今日は嵐ちゃんととある場所に来ていた。そこはTOKIWAの経営するホテルの一つで、俺達は今その最上階のスイートルームを貸し切っている。
「俺の番でもあるんだよ?」
「そうだな、俺も盛大に祝ってもらおうか」
実は明日の4月4日は嵐ちゃんの誕生日なのだ。折角追いついたと思った年齢はたったの二日で元に戻ってしまう。
お互いの誕生日の間である今日は二人きりでお互いを祝い合うことに決めたのだ。ちなみにこの最上階の貸切は俺達二人への騎麻からのプレゼントだったりする。
部屋に運ばれてきたコース料理はどれも美味しく、今日は特別にと許可が出たため十六弥くんおすすめのワインもディナーと一緒に並んでいる。いつもは食堂などでわいわいみんなで食事をとることが多いので、この二人だけの静かな空間は何だか新鮮だ。
「俺ね、嵐ちゃんからのプレゼントなんだかわかるよ」
食事も終わりそろそろ用意していたプレゼントを渡したくなり、おもむろに嵐ちゃんへと話を切り出した。そして、実は嵐ちゃんからのプレゼントが何か心当たりがあるのだ。
「俺も、レイラからのプレゼント当ててやろうか?」
しかも心当たりがあるのは嵐ちゃんも同じようで、にやりと口角を引き上げてこちらを見てくる瞳が自信を表している。
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