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これが新しい生徒会メンバーだ
「俺達の事は中等部でも一緒に生徒会をしていたからわかると思うし紹介は省くよ」
みんなの様子を見ながら話し始めたのは響ちゃん。真斗は知っていたけどどうやら一年生三人はみんな生徒会経験者のようだ。それはなんとも頼もしい限りだ。だって俺は初心者だし。
「先にみんなの紹介をしていくね。まずは、、、」
響ちゃんが順番に全員の紹介をしていく。といっても俺と例の一年生以外は元々顔見知りだから、ほとんど俺達のための紹介だ。
会長後任の俺に副会長後任のケイ、会計後任の真斗、書記後任の鷹、そして庶務後任の一年生、宇津木渚くん。
渚くんはケイと殆ど変わらないサイズ感で、ほんのり赤茶色の癖のある髪が何だかプードルを連想させて可愛い。そして何より顔が美少女だ。
めちゃくちゃ可愛いんだけど、実はさっきからすごい勢いで俺の事睨んできている。現在進行形だ。
「騎麻、俺何かしたのかな」
「渚はびっくりするくらい人見知りなだけだから気にするな。野良猫を手懐ける気持ちで気長にがんばれ」
小声で隣の騎麻に助けを求めたらそんな言葉が。えぇー・・・。人見知りなだけって割りには今俺、親の仇レベルで睨まれてるよ?あまりそういう視線を向けられた事がないので反応に困る。
「えっと、渚くん、これからよろしくね?」
「・・・ん」
恐る恐る挨拶をしてみたら、小さく、本当に小さくだけ頷きを返してくれた。え、可愛い。
無意識に撫でようと手を伸ばしたら全力で逃げられた。う゛ぅー、まだお触りは許してくれないということか。また睨んでるし。
「気長に行こう」
「・・・うん」
騎麻が慰めてくれた。でも俺の視界の先で渚くんがまみちゃんに頭を撫でられている。俺は逃げられたのに大人しく撫でられている。俺も早く撫でたい・・・。
そのまま明日の始業式での流れを確認して今日の打ち合わせは終わった。隙を見ては俺に抱きつきに来る鷹と、近寄っては逃げられを繰り返す俺と渚くん。これからの生徒会は賑やかになりそうだ。
「どうだったよ生徒会」
寮に戻ると先に帰っていた嵐ちゃんが部屋着で寛いでいた。勿論去年に引き続き俺と嵐ちゃんは同室のまま。
「みんなもいるし楽しそうだよ。・・・一人俺の事だけ警戒しまくってる子がいるけど」
「なんだそれ」
大丈夫。まずは隣の席に座れる所まで距離を縮めよう。今は間に誰か挟んだ距離までしか近づいてくれない。多分隙を見て触ろうとしているのがバレたからだと思う。
「嵐ちゃん野良猫の手懐け方知ってる?」
「・・・どっかで拾ってきたのか?」
猫っていうかどちらかというと野良犬?野良プードルなんだけどね。
目の前の黒髪のゆるいウェーブのかかった髪をくしゃくしゃと撫でる。大人しく撫でられる嵐ちゃんは犬に例えるとバーニーズマウンテンドッグって感じかなー。黒い毛の大型犬でおっとりしてて可愛いんだ。毛の生え変わりの時期は抜け毛が多くて大変だけど、ブラッシングされてる時のうっとりした感じがまた可愛くて。
つい昔飼ってラノバンの事を思い出した。本家のティノは元気かなー。まだ最後に会ってから三日だけど。
「どうした、今日は疲れたか?」
「嵐ちゃん俺を全力で甘やかしてーーー」
みんなとは仲良さそうなのに俺だけ警戒されてるとか寂しいーーーーーーっ
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