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俺は歴代最高を超えたいよ?

今日は始業式。俺の生徒会入りの発表の時でもある。始業式自体はなんの問題も無く終わり、もうすぐ出番がやってくる。 「続きまして、生徒会より新しく生徒会入りをした役員の紹介をします」 騎麻を先頭に舞台の上には新旧生徒会メンバーとなる9人が順番に一列に並んだ。元々の生徒会の人気は勿論、一年生組も中等部の事もあり人気も知名度もあるのだろう。そして舞台の中央辺り、ケイと鷹の間に並ぶ俺に体育館内に驚きの声が広がる。 俺が生徒会入りしたことはまだ広まっていなかったようだ。まあ、俺自体が知ったのも2日前だから当たり前だろう。 簡易的に騎麻から紹介があった後、新メンバーを代表して俺が挨拶をすることになっている。 「早速だけど、俺は堅苦しい話し方は苦手だからいつもの話し方で話させてもらうね。さっき騎麻から紹介があったけど改めて、俺は2-Sの常磐レイラだよ。二、三年生は知ってる人も多いと思うけど去年天羽学園に入学してきたから、一年生のみんなとは初めましてだね」 本当はこういう時はしっかりとした口調で話すべきなんだろうけど、あえていつも通りで話すことにした。 今ここには俺の事をほとんど知らない一年生は勿論、話したことの無い生徒が沢山いる。そんな人達からしたら急に生徒会に入って、しっかり学園を纏めている騎麻の後任で会長になります、なんて言われても不安になるかもしれない。 だったら少しでも俺という人間を知ってもらうことにこの時間を使いたいと思った。 「俺は今まで通信教育だったから、学校に通ったのは去年が初めてなんだよね。だから勿論生徒会も初めて。でも、有難いことに俺は身内に騎麻がいたから、生徒会という仕事の大変さも、大切さも、やり甲斐も、この一年近くで見てきたよ」 休みの日にも学園のため、生徒のために仕事をしたり、イベントの時には運営にも携わる。式典ではみんなの前に立つだけではなくそれまでの準備に走り回っていた。決まったことをするだけではなく、学園がより良くなるために考えて、行動を起こさなきゃいけない。それでもみんなと同じく学業もしっかりと成績を残さないと。 「俺がこの学園に来て毎日楽しく過ごせているのもきっと、今までの生徒会の頑張りもあると思うんだよね。だって知ってる?今の生徒会メンバーって歴代で最高って言われてるんだって。そんな人達が学園を纏めてたらそりゃ学園もいい所になるよね。でも俺は、今までの生徒会にも、歴代最高のみんなにも、負けない学園を作りたい」 歴代最高とは、誰が言い出したかなんかわからない。でも、それを聞いて笑う人がいないくらい、今の学園にみんな納得している。でも、 「俺って2番は嫌いなんだよね。だから俺が1番いい学園にする。勿論それにはついてきてくれるみんなの力が必要不可欠。だから、 みんなで歴代最高の学園つくろう!」 他力本願と言われてもいい。俺は生徒会だけじゃなく、学園のみんなの力で歴代最高の天羽学園を作りたいと思う。だってみんながいないと学園というもの自体が成り立たない。 それに俺はこの一年で知っている。この学園にいる、生徒も先生も管理人も食堂の料理人も、関わる全ての人達がみんな必要な力を持っていることを。そしてその力にはまだまだ発揮所があることも。 「生徒会として運営の基盤は俺達かもしれない。でも、学園をつくっていくのはみんなだよ。暇なんて無い、退屈なんかさせない。みんな覚悟しててね?」 以上です。という言葉と同時ににっこりと笑う。すると静かに話を聞いてくれていた生徒達から一斉に歓声が湧き上がった。 あぁ本当に、この学園のみんなが俺は好きだな。 元々、この天羽学園は入学の試験からレベルが高い。その試験をクリアして在籍しているみんなは、これまでお互いに刺激し合って更にレベルを上げてここまできている。 球技大会や体育祭など、他のクラスや学年と関わった時それぞれのクラス、チームを纏める人間がいて、そこにはしっかりとしたコミュニティが出来ていた。 そのコミュニティが意見を交換し合い、結束力を強めていけば最終的に学園自体が完成された大きな大きなコミュニティになる。 俺はそんなクラスも学年も、なんなら大人も子供も関係無く、お互いに自分の強みを発揮し合える所に天羽学園をしたいと思う。

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