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俺の苦手なものを教えよう
「え・・・本当に入るの?」
「だって外歩いているとまた声かけられるし、ここの売りの一つでもあるし!」
そう言う鷹に手を引かれて連れてこられたのは一つの独立した建物。外観は目立つ装飾などのないシンプルな造りだが、出来てまだ半年程のこの遊園地にしてはやたらと古めかしい。
そう、ここは “ お化け屋敷 ” だ。
「未知のウイルスにより壊滅した研究所をモチーフにしてるんだって!」
「じゃあお化けってかゾンビ的な感じか」
「バイ〇ハザードみたいな?」
鷹の説明に相槌をうつのいちゃんと真斗。ちょっとわくわくした雰囲気がこっちにも伝わってきてるよ。まぢで。
いや、わかるよ!鷹はホラー大好きだし、のいちゃんも一緒にホラー映画とか観るって言ってたし!真斗も、なんなら騎麻もそういうのが好きだってことは!!
・・・でも俺は去年の夏休みに別荘でした肝試し以来、自分がホラー系が苦手なことを自覚している。それがわかっているから今、騎麻や嵐ちゃんが心配そうな顔でこちらを見ているのだろう。
「俺今日ここに入るのめっちゃ楽しみにしてたんですよ!」
「・・・」
「鷹がその話ばっかするから俺もちょっと期待してる」
「・・・・・・」
鷹と真斗の歳下二人のわくわくした姿に、入りたくないとは言いづらい。俺が入らないと言えば、きっと嵐ちゃんも入らないと言い出す。別に嵐ちゃんはこういう系は苦手では無いけど、特別興味もないから。
でも今日は結局みんなで遊園地に来てはいるけど、鷹とのデートとしてここに来ている。だから鷹は俺とお化け屋敷に入るのを楽しみにしていたはず。こんなに嬉しそうにしているのに、俺がそこに水を差すのはどうも気が滅入る。
「・・・わかった、行こう」
俺の返事を聞き意気揚々と入口に向かう鷹達の姿に深呼吸をして気持ちを入れ直す。
「大丈夫なのかよ」
「・・・大丈夫じゃないけど、みんなで行けばどうにかなるかも」
周囲をみんなに囲んで貰えば視界的恐怖は和らぐかもしれない。有難いことにみんな身長高いし、いい壁になりそうだよね。
と、思っていたのに・・・
「1グループ四人までらしいから俺達も三人づつに別れなきゃ」
「え!?」
三人!?俺を除いたら壁二人しかいないじゃん!全然視界塞げてないよね!?俺の計画が入る前から砕け散った。
アトラクションに乗る時と同じくじゃんけんでチームを決めた結果、俺は鷹とのいちゃんと同じチームに。どうせなら俺がホラーがダメな事を知っている嵐ちゃんか騎麻が一緒が良かった・・・。
「じゃあ俺らから先っすね!」
テンションの高い鷹を先頭に先に出発した俺達。中は暗く、通路は思っていたよりも広い。
「レイラ君怖かったら手繋ぎますよ!?」
暗く不気味な雰囲気の中でも元気いっぱいの鷹の声が響くと何だかちょっと心強い。しかもめっちゃ手繋ぎたい。誰かの体温を感じていたい。
「つn・・・」
「繋ぐわけないだろ阿呆か」
「!?」
繋ぐと言おうとした瞬間にまさかののいちゃんに遮られた。え!俺繋ぐよ!?繋ぎたいよ!?
「嵐太郎がいない分しっかり見張っとくから」
「そんなぁ〜〜〜鴇君ガード硬すぎ!!」
安心しろとでも言うようにのいちゃんに頭を撫でられた。暗くて見えてないかもしれないけど、俺今泣きそうよ?
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