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初めてのジャンピングスライディング

「っ!!」 「うわ!グロっ」 「・・・リアルだな」 少し歩くと通路の横に食いちぎられた様な内臓の飛び出た死体が数体転がっていた。勿論それはお化け屋敷の演出で偽物何だけど、飛び出た内臓の肉感だったり血液が本物にしか見えない。 すげぇーとか言って覗き込んでいる二人の気が知れない。何でわざわざ近くで見て確認してるの?馬鹿なの? ポタッ・・・ 「!?」 え、待って今何か後ろから音がした気が・・・。 「ね、ねぇ・・・」 「鴇君やばいやばい!触った感じもリアル!」 「っおい、その手でこっち触るなよ!」 盛り上がっていて全く俺の声に気づかない二人。 ポタポタッ・・・ベチャッ 「っぇ、、、!?!?」 「っわ、どうしたレイラ」 「鴇君後ろ後ろ!!」 音に驚き咄嗟に後ろを振り向いてしまい後悔する。そこには目の飛び出た血だらけのゾンビがこちらに手を伸ばして立っていた。 ゾンビが視界に入った瞬間に反射で近くにいたのいちゃんの背中に抱きついた。一瞬のことなのにゾンビの姿が目に焼き付いてしまい、心臓がバクバクと脈打つ。 そのまま逃げるように通路を先に進む間ものいちゃんに引っ付いたまま。前を見ていないので鷹やのいちゃんの驚く声につられて俺も驚く。 「レイラ君レイラ君、やっぱ手繋ぐ?」 「・・・ん」 流石に俺がお化け屋敷が苦手なことに気付いた鷹に声をかけられ手を繋いで貰う。それでも手だけではどうしても頼りなく、ゾンビや仕掛けが作動する度に鷹にしがみつく。それが嬉しいのか鷹が色々と何かを言っているけど、残念ながら今の俺には話に集中する余裕がない。 「っ、な、何あれ、」 「なんかやばそうっすね」 通路の真ん中を塞ぐように積み重なる死体の山。ギリギリ横を人が一人通れるくらいのスペースが空いている。先に進むにはそこを通らないといけないのだが、どう考えても何かある。 「ちょっと俺様子見てくる!」 「え!」 「何かあるかもだからレイラはここで待っとけ」 「ちょ!!」 そう言うと俺を置いて死体の山に近づく二人。え、どうしよ。近づいた瞬間に死体がゾンビとして動き初めて二人を襲ったら。そう、ドキドキしながら見守っていると・・・ 「、!!!ぎゃぁぁあぁぁあぁ!!!」 「ひッく、、ぅ、」 「結局こうなるのか」 「レイラレイラ、もう外だからね」 嵐ちゃんに抱きついた状態で背中をぽんぽんと叩かれ、騎麻に頭を撫でられる。 鷹達が死体の山を確認している姿に気を取られていた俺。後ろから来たゾンビに気付かず、驚き盛大にジャンピングスライディングをかました。怖いしスライディングで痛いしで限界の来た俺はその場で号泣。進むのが遅かった為、後ろから来た嵐ちゃん達が追いつき号泣する俺を発見し救出され今に至る。 「レイラは転がって号泣してるし、周りで鷹と山野井さんは慌ててるし、ゾンビまで心配して集まってるしで凄い光景だった」 真斗が言うには発見した時の俺の周りには慌てる二人と、脅かし役のゾンビ、そして死体の山の中に隠れていたゾンビが群がっていたらしい。 「ゾンビを見た時の反応を見て、苦手だろうなとは思っていたけどそこまでだとは思わなくて、悪い事をしたな」 「俺もついはしゃぎ過ぎた・・・ごめんねレイラ君〜」 俺を一人にしたことを後悔しているらしいのいちゃん兄弟。確かに二人がそばに居たらジャンピングスライディングはしなかったかもしれない。

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