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またみんなで来よう
「膝もおでこも痛い・・・」
その後どうにか復活したが、スライディングの負傷は残った。
「よく鼻打たなかったな」
「・・・打って鼻血でも出てたら目の前がリアル血の海になってショック死してたかも」
本物の血まで出てきたら俺の繊細な心では処理仕切れない。
そして、別に隠してる訳じゃないからいいけど、俺が割りとビビりなことが徐々に広まっていっていて悲しい。大きな音とかは平気なんだけどなぁ・・・。あ、でも虫も嫌いだ。
「レイラ、一緒にジェラート食べよ」
動き回って小腹が着いた頃に真斗が売店を指しながら誘ってきた。天気がいい事もあって、その周辺では買ったジェラートを食べている他の客も沢山いる。
「真斗何にするの?」
「ストロベリー」
「俺ピスタチオ」
「一口頂戴」
「いいよ」
真斗の分も合わせて注文しお金を払う。ジェラートが出来る様子をじっと見つめる姿は何だか可愛い。真斗はみんなの前ではクールな雰囲気が強いけど、なんだかんだ末っ子気質だと思う。騎麻や風月はカエラとサハラに負けないくらい弟に激甘だから。俺は真斗を末っ子仲間だと思ってる。
「あ、美味い」
「こっちも美味しー」
出来上がったジェラートは味が濃厚でとても美味しかった。一口と言いつつ俺のピスタチオをがっつり食べている真斗のストロベリーを貰って食べると、こちらもかなり味がしっかりしていて美味しい。
「あ!二人だけでずるい!」
「暑いからなー俺達も食おうぜ」
地図を見ていたみんなも俺達の持っているジェラートに気付き売店に向かっていく。一緒に着いて行って試したい味を騎麻に注文させようとしている真斗の姿に笑う。かなりここのジェラートが気に入ったみたいだ。
「嵐ちゃんそれ何味?」
「レモンヨーグルト。食うか?」
「食べる」
差し出されたものにかぶりつくと口の中にほのかな酸味が広がった。すごくさっぱりしていて美味しい。
殆どのアトラクションを周り終える頃には日が傾き出していた。暖かくなってきてだいぶ日も長くなってきたけど、やっぱり昼間と比べると肌寒い。
「さあさあ子供たち、満足したか?」
子供たちと言いつつ視線が俺と鷹の方を向いている騎麻。朝に寮を出発してから約7時間近くは遊んだ。俺としてはかなり満足しているんだけど、元はと言えば今日は鷹が主役のようなもの。デートにしてはちょっと人数は多かったが、さて、満足してくれただろうか。
「みんなで遊園地で遊べてめっちゃ楽しかったっす!」
満面の笑みと共に親指を立てる姿にみんな笑顔になる。よかった。これで歓迎会でのお願い券の効力は無くなった。まあ、別にそんなことは気にしてないのだけど。
「今度は響ちゃん達も一緒に来たいね」
「!そうっすね!またみんなで来ましょうね!!」
デートかどうかは別として、またみんなでこうして遊びに行きたい。多分みんなも同じことを思っているんじゃないかな。
「次いつ遊び行きます?来週?あ、明日?」
「生徒会あるからそんなしょっちゅう行けねぇだろ」
うきうきの鷹にのいちゃんの的確なつっこみ。まあ普段ならそんなに忙しくないけど来月の頭には球技大会がある。それまでの二週間ちょっとは多少いつもより忙しいかもしれない。
「嵐ちゃん嵐ちゃん」
「なんだ?」
隣にいる嵐ちゃんを引き寄せ耳元に手を添えて小さい声で、
「忙しくても嵐ちゃんと遊ぶ時間は絶対つくるからね」
「ははっ、そりゃ嬉しいな」
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