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コンプレックス

遊園地から寮に戻った時にはもう完全に外は暗くなっていた。あぁー今日はよく遊んだなー。 「嵐ちゃーん、頭痛ーい・・・」 「・・・熱出るまで遊ぶなよな」 今日は一日初夏を感じるくらいの天気だった。イコール一日中日光に当たり続けた俺の体は限界だったようで、部屋に着くと同時にぶっ倒れた。計ってみたら思っていた通り熱が37.7度。平熱が36度ジャストの俺からするとかなりの高熱。無理。死んじゃう。 「お前、前より体力無くなってないか?」 嵐ちゃんに言われた通り、夏本番なら兎も角今日くらいの天気でこれは情けない。別に特別何か変わったつもりは無いのに、何で体力が落ちてるんだろ・・・。 とりあえず頭も痛いし動きたくないので全てを嵐ちゃんに任せてソファに沈む。 頭が痛い、体が熱い、頭がくらくらする・・・ 「嵐ちゃ〜〜〜ん」 「わかったから待て待て、片付けたらすぐそっち行くから」 しつこく呼び続けてどうにか嵐ちゃんを近くに呼び寄せることに成功した。目の前の体に抱きついてやっと落ち着く。冷蔵庫に常備されている冷えピタをおでこに貼られひんやりと気持ちがいい。 「明日は大人しく寝てろよ」 明日は学校も生徒会も休みだからゆっくり休もう。多分日光が原因なら明日には復活しているはずだし。でも球技大会に向けて体力をどうにかしないといけないから、元気になっていたらジムに行こうか・・・。 疲れていたのでいつの間にか眠っていた。その隙をみて嵐ちゃんはシャワーを浴び、俺を着替えさせ、ベッドに運ぶという作業をこなす。 翌朝目を覚ました時には熱も下がり、昨日そのまま寝てしまったためとりあえずシャワーを浴びる。 「レイラ、微妙に痩せたか?」 「え!?そんなはずない!!」 風呂上がりの下着姿の俺を見た嵐ちゃんの爆弾発言に全力否定。俺に痩せたは禁句ですよ! 「体重変わってないよ!毎日測ってるし!!」 「毎日って・・・女子かよ」 そりゃ気にしてるから毎日チェックしてるさ!正月にやった常磐家の身体測定でも4月の初めにあった学園の身体測定でも見事に同じ体重をキープし続けている。 「身長伸びてたのに体重変わってないのか?」 「!!」 た し か に !! そういや俺、正月に測った時は身長181cmの体重が57kgだった。そして4月の健康診断では身長は182.5cm。なんなら去年の春は身長178cmに対して56kgだった。 ・・・5cm近く身長伸びているのに体重は1kgしか変わっていない? 「ダメじゃん!!」 「毎日見てると感じないけど、やっぱちょっと痩せて見えるわ」 なんてことだ。食べてる量としては痩せるはずがないのだが、きっと数ヶ月おきに体調を崩したりで食欲が減る時に、それまでに僅かに増えた体重がリセットされるからだろう。 「その身長だと平均体重になるにはプラス15kgくらい必要だな」 「それは無理・・・」 調べなくていいのに嵐ちゃんがiPhoneで身長別の平均体重なんかを調べて見せてくる。いや、調べなくても俺が痩せてるのはわかるじゃん!!嵐ちゃんは平均体重ってかアスリート体型!?よかったね!! あんまりいじめると拗ねるぞ。 でも冷静に、きっと夏が来たら俺は夏バテで100%食欲が落ちて痩せる。なので、今のうちに体重を少しでも増やしとかないと危ない。成長期の今、これまでと同じ食事では身長に栄養が持ってかれて体重が増えないということか。 「俺、今日からご飯の量倍にする」 「毎日が大食い選手権みたいになりそうだな」 目指せ体重プラス5kg!!

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