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セクハラはやめて頂きたい
試合はストレートであっという間に勝負がついた。どうやら俺達のチームの実力はなかなかいい線をいっているようだ。それにしても、
「ねぇ!俺が動く度になんかセクハラみたいな声援が聞こえんるんだけど!!」
そう、俺が飛んだり走ったりする度に色々な方向から聞こえてくる声援の中に、“えろい”だの、“生足最高”だの、“お腹見せてー”だの意味わからん声が混ざっているのだ。
いやもう慣れてるけど。去年からのでだいぶ慣れてるけど。でも、
「誰だよ脇舐めたいとか言ってた変態!」
「レイちゃん落ち着いて!!」
「レイラ君!ドッジボールの試合行かないと!ね!?」
観客を威嚇する俺をゆっきーと凌が宥める。みんなが色々意見を言い合える学園は俺が作ろうとしている学園の課題の一つではあるが、こういうことじゃないからな!?
勝利の余韻に浸る間もなくドッジボールの試合が行われる運動場へと移動する。バレーは体育館でしているけど、それ以外のドッジとハンドは外の運動場で行っている。この室内と外の行ったり来たりは思いのほかしんどい。何より今日は天気が良すぎる。もうすぐ梅雨が来るはずなのに雲ひとつない。
「わ、一回戦1-Sが相手なの」
ドッジボールの試合場所に着くと、既に他のチームメイトが待機していた。その中に混ざりんだけど、反対側に待機している対戦相手の中に見覚えのあるふわふわした赤毛を発見。
「渚くーん」
「え、レイラくん、ドッジ出るの?」
一年生の中でも小柄な渚くんは集団の中に埋もれている。可愛いな。
「ピンチヒッターレイラくんだよ」
「??」
上手く伝わらなかったようで首を傾げる姿に和む。頭を撫でるとますますハテナを飛ばしている。可愛い。撫でても嫌がらなくなった渚くんと俺の心の距離はかなり近づいた。とても嬉しい。
そうこうしているうちに前の試合が終わり入れ替わるようにコートに入る。
「やば!敵チームに常磐先輩いるぞ!」
「やっぱかっこいいな・・・」
「真斗の従兄弟なんだよな?」
「騎麻先輩とはまた違った迫力が・・・」
関わりの少ない一年生が俺の存在に気づいてそわそわし始めた。別にそんな遠巻きに見ないでも噛み付いたりしないのに。
「お!レイラくーん!頑張れー!」
「なになに、レイラちゃんいんの!?」
「応援してるぞー!」
空き時間の生徒が応援に来てくれ他のクラスや三年生達も集まってきた。クラスや学年の関係の壁の無いこの感じ。好きだなー。
「ジャンプボールで始めます!」
審判をする体育委員の支持で試合が開始される。ジャンプボールを任されたため中央に集まると、緊張した様子の相手チームの一年生。身長は同じくらいだろうか?
「楽しもうね」
「は、はい!」
ヒュッ バシッ
高く投げられたボールに手を伸ばす。相手がボールに触れるより先に大きく弾き、自分達の陣地へとボールが飛んでいく。
「ナイスレイラ君!」
丁度弾いた先にいたケイがボールをキャッチし、そのままの勢いで相手チームへとボールを投げ込む。その迷いのない投球と小柄な見た目からは想像の出来ない勢いで飛んでいくボールが、敵の一人の足元に当たり弾けていく。ヒット。
「ケイやるね!」
「ガンガンいくよー!」
ハイタッチをしてすぐに相手チーム側に視線を戻す。近くに飛んできたボールを手を伸ばしキャッチし、大きく振りかぶり、叩きつけるように投げる。
ヒュンッ
「いでっ!!」
「余所見は禁物だよ〜」
二人目のアウト。実は俺、ドッジボール初体験なのだ。人にボールを当てるって、少し抵抗があったけど、案外楽しい。
「生徒会の二人か弱い系かと思ったら、めちゃめちゃ攻撃的!!」
「油断するな!」
連続のアウトに焦り出す敵チーム。そうそう、油断しちゃダメよん。俺は普通よりも手足がちょっと長めなので、みんなの予想よりもボールにより手が届く。投げて、避けて、パスをし、また投げる。何度も繰り返される動きに徐々に内野の人数に変化が出てきた。
キャッチしたボールをまた勢いよく投げようとした瞬間、視界線の先に見える姿に動きが止まる!
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