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強敵揃いの3-S
「晃太くん助かったーありがとー」
「今日暑いから気をつけろよ」
そういって颯爽と去っていった晃太くん。俺と凌の手に大量の飴玉をおいて。何でこんなにたくさん飴持ってるんだろう。
バレーの二回戦2-Eとの試合はなかなか決着がつかず、延長線の末になんとか勝つことが出来た。
「や、やばい、、疲れた・・・」
足に疲労が溜まってきた。ジャンプシュートにアタックにブロック、多分俺他のみんなより飛びすぎなんだ・・・。それにしても空調があるおかげで助かった。天羽学園は教室から廊下、食堂や講堂は勿論体育館も全てが快適温度。あー今からドッジの二回戦で外に行くと思うと憂鬱だ。今日は風が無いから外の方が暑い。
「レイちゃん、そろそろ移動した方がいいかも」
「動きたくないよゆっき〜」
バレーの試合が長引いたせいで休憩がほとんど出来なかった。クラスメイトや応援してくれていた生徒が差し入れてくれたお菓子で、エネルギーを補給しつつ床に転がったまま動かない俺をゆっきーが覗き込む。確かにそろそろ移動しないとな〜。
「雪成、そいつ担いで行ってやれ」
「はは、そうするよ迅」
一向に動かない俺を見兼ねた迅とゆっきー。運んでくれるらしい。言い出しっぺは迅なのに運ぶのはゆっきーなのが面白い。ゆっきーは優しいからね。俺は有難く甘えるよ。
「寝そ〜」
「結城先輩に見つかるの怖いからコートに着く前に下ろすからね」
おんぶされて運ばれる姿はかなり目立っていたけど、久々におんぶされて楽しかったので結局そのままコートまで連れていってもらった。
「え、怪我でもしたの!?」
「んー?動くの疲れるから運んでもらっただけ」
「もぉ〜心配したじゃん」
おんぶされて現れた俺に驚いて近付いてきた騎麻だったけど、正直に言えば呆れた顔を返された。あー、楽しかった。
「おいこら、あんま他の奴と引っ付くな」
「いてっ」
いつの間にか傍に来ていた嵐ちゃんに頭を叩かれた。逃げるように遠くへ行ってしまったゆっきー。裏切ったな。
普段からスキンシップが激しい方の俺は仲のいい友達にはすぐ引っ付く癖がある。それを近くで見てるからある程度は許してくれる嵐ちゃんも、今回はちょっと拗ねた顔をしている。おんぶで移動は嵐ちゃん的にアウトだったか。ごめんごめん。
「何、嵐やきもち?」
「嵐ちゃんやきもちー?」
「・・・怒るぞ」
巫山戯ているうちに試合に時間になり、それぞれのコートに並ぶ。丁度正面にいる嵐ちゃんと騎麻、このくんもいる。そしてその横にいるのは確かバスケ部のキャプテンだ。そういや去年のバスケにも一緒に出ていた。多分この四人が向こうのチームでは強敵だな。
ジャンプボールはほぼ同時にボールに触れたのに嵐ちゃんのパワーに押し負けた。むかつく。
急いでポジションを整えるとボールをキャッチした騎麻がこちらに目掛けて投げ込む。
バチッッ
「やーん、えげつな」
避け切れずに一人がアウトになる。ボールが当たった瞬間の音がその威力を語っている。絶対痛い。当たったら痛い。キャッチするのも痛そう。
どうにかボールをキャッチして相手へと投げ込む。それを繰り返すうちに徐々に人数が減っていく。が、
ヒュッ
「ナイスパス」
「っくそ!」
狙っても狙っても全てキャッチされてしまう。騎麻も嵐ちゃんも隙がない。そしてどんどん減らされた結果、俺達のチームの内野がやばい。俺しか二人のボールを取れる人間がいないのだ。
「おらっ」
「あーもう!!」
「やるじゃん」
「嵐ちゃんもね!!」
取っては投げて、投げては取って。俺と嵐ちゃんの攻防戦が続く。
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