243 / 311

怪我は男の勲章・・・なのか?

「おでこどうしたの」 「・・・」 「ははっ、それ試合中によそ見して正面から結城と激突したんだよ」 よそ見でぶつかるとはなかなか災難な・・・。というか意外とこのくんはドジっ子なのか?ちょっと面白い。 「って、結城?嵐ちゃん?」 「そう嵐ちゃん嵐ちゃん」 「え、嵐ちゃんとぶつかったの?」 普段苗字で呼ばないから一瞬反応に遅れてしまったけど、まさかの激突相手が嵐ちゃんとは。確かにこのくんも嵐ちゃんと同じくドッジボールに出ていた。内野からの嵐ちゃんと騎麻の攻撃も強烈だったけど、外野のこのくんの攻撃も俺達の敗因の一つなのだから。 「嵐ちゃんも同じ感じになってんの?」 「お揃いだよね、悠仁」 「・・・ああ。悪いな俺の不注意で」 いや、別に俺そんなお揃いは羨ましくもないので謝らないでいいのに。それにしてもまあまあ立派なたんこぶが出来ているらしいこのくんとお揃いということは、嵐ちゃんにもたんこぶが出来てるのか。 「寮に帰ったらつついてみよ」 「多分怒られちゃうよ」 思った以上にあっさりと終わった片付け。・・・騎麻に怒られても良いからサボればよかった。 「近づいたら怒る、触ったら怒る」 「えぇ〜っ」 目の前で全力で俺から距離をとってくる嵐ちゃん。いつもなら俺が引っつけば柔らかい笑顔で喜んでくれるのに。ひどい。 「ちょっとおでこつついただけじゃん」 「ちょっとじゃねぇよ、思っきし押しただろ」 寮に帰るとソファーうたた寝をしていた嵐ちゃん。安ちゃん達から聞いた通り、おでこにはこのくんと同じく湿布が貼られていた、その見慣れない姿が面白くて、つい出来心でつついた。まあ、嵐ちゃんが言う通り、ちょっと強めに押したんだけどね。 「レイラ、泣いちゃう」 「俺が泣きそうだったわ」 思っていたよりも痛かったらしく、嵐ちゃんが普段あまり俺に向けない威嚇したような顔をしている。ごめんって。 いや、でも運動神経の良い二人の激突はかなりの勢いだったらしい。周りで見ていた生徒達が言うには、2tトラックとダンプカーの衝突事故のようだったとか。・・・怖っ。 「嵐ちゃんなら避けられたんじゃないの」 「・・・悠仁のやつ、振り向いた先に全力で突っ込んで来たんだよ」 気配に気付いて振り向いた時にはもうこのくんの頭が目の前にあったらしい。で、激突。うわ、痛そー。 シャワーを浴び、機嫌の治った嵐ちゃんの膝の上に転がる。近づくなって言われたのちょっと根に持ってるからな。いつも以上に引っ付いてやる。 「総合優勝した俺へのご褒美は〜?」 「去年と同じでいいのか?」 去年の球技大会も総合優勝した時にご褒美を要求した。と言ってもちゅーをしただけだからいつも通りだったんだけど。でも、 「ちゅーはする」 「はいはい」 寝転がった状態のまま首を引き寄せると嵐ちゃんも背を曲げてそれに応えてくれる。ちょっとカサっとしている唇がキスを繰り返す度に徐々にしっとりしていく。気持ちいいなぁ。 「ドッジで優勝した俺にはご褒美ないのか?」 「んー?」 俺は負けたからちょっと複雑だけどなぁ〜。でもおでこを負傷して可哀想な嵐ちゃんに優しいレイラくんがご褒美をあげましょう! 「何がいいのかな嵐ちゃんは〜、あ、打ち上げで着たメイド服貰ったから着てあげようか?」 「・・・ちょっとその話詳しく」 あ、もしかして嵐ちゃんにはメイド服での撮影会のこと言わない方がよかったかな・・・?まぁ、いっか。

ともだちにシェアしよう!