244 / 311

気持ちはすでに夏休み

「それでね、レオラビットのね、」 「うんうん」 「兄弟キャラクターを新しく作ったの!」 「そうなんだぁ〜すごいね!」 今日もあおちゃん可愛いねぇ〜。相変わらず小学生サイズのあおちゃんは膝の上に乗せても全然重くない。身振り手振りで大好きなレオラビットについて話す姿は周りに花が飛んで見える。可愛い。 「れいらちゃん!夏休みにあおのお家遊びにきて!」 「行く行く〜」 なんだろう癒されるな〜。なんかちっちゃい子と話してる気分になる。成長期来ないで欲しいなーーー。 「ここは保育園かよ」 「要先生〜お腹空いた〜」 「かなめ先生〜あおもお腹すいた〜」 「これでも食ってなさい」 そう言って差し出されたポッキーを頬張る。要の鞄には大体お腹が減った時用の非常食が常備されている。隣の席の俺もよくその恩恵をうけているわけで。前に授業中にお腹が空いて要の鞄を漁ったら煎餅しか無く、その時は流石に食べるのを断念した。 「ねぇ!?なんでみんなそんな余裕なの!?明日テストだよ!?!?」 実は明日から期末テストが始まる。テスト期間は部活や委員会は休みになるので、今は教室で明日のテストの勉強会の真っ最中。だが、勉強をする気配の無い俺達の様子に、机いっぱいに教科書を積んでいる凌が耐え切れず発狂した。 「俺はちゃんと勉強している」 そう自信満々の要が手元の教科書を凌に見せつけるけど、さっきからページが進んでいないことに俺は気づいてるぞ。 「俺はあおちゃんに英語教えてる」 「教えてもらってる!」 「はい嘘!さっきから一言も英語聞こえてきてません!!」 クラスの違うあおちゃんは苦手な英語を俺に教えて貰うため勉強会に参加している。まぁ、勉強していたのは最初の5分くらいだけどね。 毎度の事だけど、テスト前の凌は荒れている。別に普段から真面目に勉強してるから大丈夫だと思うけど、心配なんだろうな〜。ま、こっそり毎回学年一位を取っている俺にはそんな心配はない。 「ごめんね頭良くて」 「いいんだよぉ〜レイラ君はもう次元が違うから仕方ないよぉ〜・・・だからここの問題の解き方教えてください」 この問題難しいよね〜。天羽学園のテストではたまに先生の嫌がらせなのか習っていない内容や、大学レベルの難易度の問題が出たりする。凌が解いている問題もまさに半年後辺りに習う内容の問題だろう。 あぁ〜早くテスト終わって夏休みにならないかな。レイラくんは夏休みを謳歌したい。プールで泳いで花火をして、BBQもしたいし今年は夏祭りも行ってみたい。 暑いのは嫌だからあえて寒い所にいくとか?でも寒すぎるのも嫌だから程よい所。・・・クーラーのきいてる部屋が一番じゃない? 夏休みの間は十六弥くんやカレンちゃんも日本に来てくれるらしいし、家族でどこかに行きたいな。あ、カレンちゃんの水着姿を見たいから海も良い。海ならティノも連れて行ってあげたいなぁ〜。絶対喜ぶ。 「え、どうしよ、俺新しい水着買った方がいいかな」 「ビキニでもブーメランでも何でも買えよ」 ちなみに家にある室内プールでよく十六弥くんは全裸で泳いでる。俺達は別にいいけどそろそろ風月辺りに嫌がられるんじゃないかな。 「・・・お願いだからテスト勉強しよ?俺のためにも形だけでいいからテスト勉強しよ?ね??」 泣きそうな顔で懇願してくる凌が可哀想なので、その後は大人しくみんなで真面目にテスト勉強をした。 結果いつもより真面目にテスト勉強をした成果なのか、ちょっと苦手な日本史の点数がいつもより良かったのでめでたしめでたし。これで俺の楽しい夏休みが存分に楽しめる!

ともだちにシェアしよう!