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適度な日光浴は必要

夏休み5日目。今日は嵐ちゃんの家に遊びに来ている。 「晴さん麻耶さんこんにちはー」 冬休みに遊びに来て以来だからお正月ぶりの結城家。今日は日曜日だからみんな休みで家に揃っているらしい。 「いらっしゃいレイラ君!」 「暑かっただろう」 若々しくハツラツとした印象の麻耶さんと、嵐ちゃんを大人にしてほんわかさせた感じの晴さん。 初めてここに挨拶に来た時こそ俺達の関係に反対はしていたが、今はこうして明るく迎え入れてくれていることに感謝している。 「凛ちゃんは?」 「兄貴は多分プールだな」 嵐ちゃんちにもプールがある。うちとは違って室内ではなく庭にあるタイプのそこを覗くと、プールにぷかぷか浮かぶ凛ちゃんの姿があった。 「あ!レイラ君いらっしゃい。二人もプール入る?涼しいぜ」 確かに今日はなかなかの暑さだ。誘われるがままに俺達も一緒にプールで遊ぶことにした。水着を持ってきていなかった俺は嵐ちゃんの水着を借り、日焼け止めを念入りに塗った状態でプールサイドに立つ。 「レイラ君白いな〜眩しいくらいだよ」 「凛ちゃんはいい色に焼けてるね」 「兄貴休みのたびにここで焼いてるからな」 大学院生の凛ちゃんの休みがどれくらいあるのかは知らないが、なかなか健康的な焼け具合で、日焼けの出来ない俺からすると羨ましい。 「普段研究室にこもりっぱなしだからな・・・たまには日差し浴びときたいだろ」 確かに室内にこもりっぱなしはよくないかもしれない。軽くストレッチで体をほぐしたところでプールに飛び込む。 ザッバァァァアンッ 「っ気持ち〜!」 豪快に水飛沫を上げて飛び込んだ水の中は暑かった日差しに対して、冷たくて気持ちがよかった。遅れて後ろから聞こえてきた音と共にまた大きな水飛沫が上がる。嵐ちゃんもプールに飛び込んできたらしい。 「日差しでちょっと水ぬるくなってるな」 「こんくらいが丁度いいよ」 そのまま中央付近でぷかぷか浮かぶ凛ちゃんに近づいてみる。浮き輪などを使わずにただただ脱力して水に浮かぶ姿がなんだか面白い。 「ずっと浮いてんの?」 「10時くらいからね」 「え、ふやけるよ?」 今は11時を少し過ぎた所だから、一時間ちょっとこの状態だと言うのか。・・・前半分だけ日焼けしたりしやないのかな。 「たまにプールサイドでひっくり返ってる」 あ、ちゃんと両面焼いているのか。少し安心した。 その後は三人で泳いだり飛び込んだり投げられたりして遊んでいると、家の中から麻耶さんの声が聞こえてきた。 「そろそろお昼にするわよ〜」 麻耶さんが持ってきてくれたタオルを受け取る。水から上がると一気に重力が戻ってきたような感覚で、プールで遊んだ後の独特の疲労感が全身に広がった。 「レイラ君なかなか男らしいな」 「そう?」 「あんま見るなよ兄貴」 プールサイドでそのまま水着を脱ぎ捨て全裸になって体を拭いていたら、凛ちゃんが感心したような声を上げる。別に外からは塀があって見えないし、部屋の中が濡れるよりいいと思うんだけど。それに二人も同じ状態だ。 「こいつ上品なのは顔だけだから」 嵐ちゃんが貸してくれた着替えを身につけるとほんのり肌が火照っているのを感じた。どうやら少し日焼けをしたのかもしれない。 みんなで楽しく昼食を食べ、プールで遊んだ疲れからやってきた眠気に、嵐ちゃんの部屋で軽く昼寝をすることにした。 数日ぶりの嵐ちゃんの体温が心地よ過ぎて少しのつもりが起きたら夕方だった。今日は泊まる予定で来ていたが、ちょっと時間を贅沢に使い過ぎたかもしれない。

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