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やっぱり俺達三つ子だよね
「よし、明日からキャンプ行くぞ」
夏休みが半分程終わった7月中旬。ソファーに転がるカエラを枕にして転がるサハラを更に枕にして転がっている所に、十六弥くんが急にそんなことを言い出した。
「え、どうしたの急に。楽しそうだからいいけど」
「お前らごろごろごろごろしやがって。そのうち脳みそ腐って溶けるぞ」
確かに十六弥くんが言う通り、夏休みに入ってからは殆ど室内でだらだらしている。というのも、今年の夏は記録的な真夏日が続いている。これはもう温暖化の影響としか思えない程暑いのだ。それに関係なくても元々湿度の高い日本の夏はきつい。それが気温までおかしな事になったら、外に出たくもなくなる。
それと、アウトドア好きの十六弥くんも流石に引きこもっているのに飽きたのだろう。
「嵐太郎にも言っとけよ」
「は〜い」
キャンプということは山に行くのだろう。山か・・・。
「虫かごと虫取り網ってあったっけ?」
「虫触れないのにカブトムシでもとる気?」
「やめときなさい」
駄目か〜。ま、俺が虫触れないのは確かだし。昔からどうしても苦手なんだよな〜。あのやたらといっぱい足があったり、変にテカテカ光ってたり、うにょうにょと動く感じ・・・。うぇっ、考えただけで気持ち悪い。鳥肌がたった。
「やっぱ夏といえば、肝試しじゃない?」
「あぁ、それは夏っぽいな」
「え!」
え、待って待って。肝試しは確かに夏っぽいと思う。俺達も去年別荘に行った時にやったし。え、でも、
「二人は怖いの苦手じゃないの!?」
俺達三つ子なのに!苦手なものも割りと似てるよね!?二人も虫触れないもんね!?
「どうだろ?肝試しとかしたことないからな」
「そういやホラー系の映画とかも観たことないかもしれないな」
そうなんだよ。俺達そういうのを体験せずに成長したんだよ。体験したことないから平気だと思っていたんだよ、去年までは。
「絶対やめといた方がいいから。二人も絶対苦手だから。十六弥くん達に馬鹿にされるだけだから!」
必死な俺に不思議そうな顔の二人を納得させるために、部屋にしまってある去年のクリスマスに鷹にもらったDVDを取り出す。5本貰ったDVDのうち3本は嵐ちゃんに付き合って貰って何とか観た。一応貰ったからには全部観ようと思っているんだけど・・・。
「残りの2本は特に鷹のオススメの作品らしいから・・・、今から一緒に観よう」
本当は俺は観たくないんだけどね!!
ブッシャァァァァァァァァ!!!
「っ!!!」
ギャァァアァァアーーーッ!!!
「・・・うっわ」
目の前の画面では血飛沫が上がり、有り得ないくらい血の気のない青白い顔の女の人が画面いっぱいに映る。何も無い所から無数の手が・・・・・・・・・怖っ!!
「え、やばいやばいやばい!!」
「なんで池から人が・・・っ、ぅわぁ」
薄目で画面を見つめつつあからさまにビビった様子のカエラとサハラ。画面が変わるたびにビクつき二人の距離が近づいていく。
「ほらね!!言ったでしょ!?!?絶対肝試しとかやめといた方がいいから!!!・・・・・・もうDVD止めてよ!!!」
わかったならDVDを止めて欲しい。ほんとお願いだから。もう無理限界やめて助けて。
DVDを停止しお互いの顔を見合わせる。ほら、カエラもサハラも珍しくちょっと涙目だ。やっぱり二人も怖いの苦手なんだよ。基本的に俺達は似てるんだから。・・・だから、
「なんでそんな怖いシーンで停止するの!?!?泣かせたいの!?!?」
「!!ごめんって!!俺も泣きそうだから!!」
「二人とも喧嘩しないの!!俺も泣くよ!?!?」
なんで首が吹き飛んだ瞬間で停止したの!!!
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