253 / 311
キャンプに来ました
森の中で焚き火をするための枝を集める。湿った枝は火がつかないので出来るだけ乾いているもの、初めの火種とする細い枝とその後のための太い枝。森には木がたくさんあるから少し探せば十分すぎるくらいの枝が集まった。
「レイラちゃんこれどう?」
「いい感じ。もう少し拾ったらみんなのとこ戻ろうか」
愛紗と一緒に森の中で枝を拾いみんなの元へと戻ると日差し避けのテントが完成していた。その下では既にママチームがチェアを引っ張り出して寛いでいる。
「枝こんくらいで大丈夫かな?」
「十分」
食事担当のパパチームがせっせと食材の下準備をしている。火をおこす準備をしていた騎麻と嵐ちゃんのもとに拾った枝を渡し、周囲を見渡す。
目の前を流れる川は流れが緩やかで水も透き通っている。周囲は先程枝を拾いにいった森が見渡す限りに広がっていて、木々の間を通り抜ける風が気持ちいい。
「レイラ、手空いてるならカエラ達と魚捕ってこい」
十六弥くんに言われテントをたて終え手の空いたサハラと真斗と一緒に、川で釣りをしているカエラと和彩の元へ行く。俺達がテントをたてた場所の近くよりも深さも流れのある岩場から釣り糸を垂らす二人の姿が見えた。・・・いつも元気な二人が静かに釣りをする姿がなんだかシュールに見える。
「釣れた?」
「ぼちぼち〜見えてるのになかなか食いつかないんだよね」
バケツの中には3匹の魚が泳いでいた。カエラが言うように川の中には目で見える範囲に魚がいるが、あまり餌には反応していないようだ。ここは水も綺麗で餌も豊富だから、疑似餌には反応しないのだろうか。
「じっとしてるのつまんないよ〜」
「ははっ、和彩には確かにあんま釣りは向いてないかもね」
「むーっ!」
釣りは釣れなきゃ楽しくない。動き回るのが好きな和彩には同じ場所でじっとしてるのは退屈なようだ。
「和彩、別にわざわざ竿を使わなくてもいいんだよ?」
「どういうこと?」
「簡単、飛び込んで捕まえればいい」
去年別荘に行った時に安ちゃんと手掴みで魚を捕ったことを思い出す。着ていた服を脱ぎ捨て、岩場から水面を覗き込む。
「全裸でやるのかよ」
「水着向こうだし・・・!いた!」
丁度いい場所に見つけた魚に狙いを定めて、タイミングを計り飛び込む。大きな水飛沫をを上げつつ咄嗟に閉じた目を慌てて開き、目の前を横切る影へと手を伸ばす。
ザバァッ
「ぷはっ、、ほら!」
掴んだ魚を逃げないようにしっかりと掴んでみんなに掲げて見せる。ビチビチと派手に跳ねるのをどうにか押さえつけてみんなのいる岩場に投げ上げる。
「すごーい!!俺もやる!!」
「岩のないとこ狙って飛ぶんだよ」
「わかった!」
見えているなら直接捕ってしまった方が早い。まあ俺達くらいの身体能力があればの話ではあるけど。
俺と同じように服を脱ぎ捨てたカエラと和彩が狙いを定めると、川へと飛び込んでくる。大きな水飛沫と共に水中に消えていった二人は数秒後にそれぞれ魚を手に顔を出した。
「わはは!これ楽しいな!!」
「すごい!もうこんなに捕れた!!」
先程までの静かに釣りをしていた表情から一変、はしゃぎながら次々と魚をゲットしていく二人。動くのが好きな二人には釣りより合っているのだろう。
「お宅のお兄さんと弟さん野生に帰っちゃったけど」
「そうだな・・・俺達も混ざった方が喜ぶだろうな」
「あいつら喜ばすためだけに全裸になるのは嫌だぞ」
俺達を見守りながらサハラと真斗がそんな話をしているとは知らず、人数分の魚を捕り続けた。いやぁ〜大漁大漁。
ともだちにシェアしよう!