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真の権力者は

夜はテントではなく近くにあるログハウスで寝る。勿論常磐の別荘の一つであるためサイズも設備も常磐規格だ。 「ほら〜さっさと順番にお風呂入っちゃいなさい」 「後が混むから入れるなら全員一緒に入れ入れ」 「その後に私達はゆっくり入りましょ〜!」 ママチームに追い立てられるように風呂場に強制送還される男達。いや、別に年末の旅行でも一緒に入ってたけどさ。 「流石に全員は狭いだろ・・・」 「年末は温泉だったから良かったけどな」 「まあ、玲弥達には逆らえないからね」 パパチームの言うように、年末の旅行の時は温泉旅館だったので勿論お風呂は広かった。そりゃ足もゆっくり伸ばせたし、なんなら軽く泳げるくらいの広さはあった。 この別荘だってそれなりに風呂場の広さはある。だけど、それなりにだ。入れて7人、ゆとりを考えると5人。俺達のサイズ感を考えるとそれが限界だと思う。 「10人はキツいだろ」 「よし、お前ら半々で入るぞ。まずは俺と亜津弥と麻紀だ」 いやいやいや。ちょっと待て。何を言ってるんだ。今自分で10人って言ったよね?半々でって言ったよね? 「異議あり!!全然半々じゃない!!」 「権力振りかざすのは良くないぞー」 「せめてここは公平に!公平に半分に!!」 「ただでさえみんなデカいんだから!!」 十六弥くんのびっくり発言に子供チームからの抗議の声が上がる。俺達だって一日外で遊んで疲れているのでゆっくりお風呂に入りたい。7人で入ったら湯船では密着ぎゅーぎゅー状態になるのは間違いない。 「そんなこと言うなら俺カレンちゃん達と入るからね!!」 「いや、向こうにいったら7人はキツいだろ」 カレンちゃん達とぎゅーぎゅー状態はむしろ大歓迎でしょ! 「あ〜もう、お前らもう成長すんなよ」 「一番場所取ってる十六弥君に言われたくないなぁ〜」 「あんまゆっくりしてるとあとのチームに文句言われそうだな・・・」 「嵐ちゃんちょっと焼けたね」 「明日も焼けそうだな」 結局十六弥くんカエラサハラ俺嵐ちゃんと、亜津弥くん麻紀くん騎麻真斗和彩の二手に分かれての入浴となった。5人なら全員が湯船に浸かってもゆっくり出来るので良かった。あとに待っているカレンちゃん達がいるのであまりだらだらとは出来ない。常磐家では十六弥くんがルールだけど、強いのは女性陣なのだ。 出来るだけ手早く風呂を済ませ、亜津弥くんチームと入れ替わる。亜津弥くん達もすぐに出てくると待機していたカレンちゃん達が風呂場へ向かった。 「カレン達は多分一時間は出てこないな」 「そうだな」 何故女の子の風呂は長いのか。体のメンテナンスには時間がかかるんだと前にカレンちゃんが言っていたけど、逆に長風呂は全身ふやけてしまうんじゃないかな・・・。 「なんかやろうぜ」 「トランプあるよ?」 「この人数は多いだろ」 騎麻の言葉に和彩がトランプやUNOなどのカードゲームを提案するが、確かにこの人数だと何をやるにも少し人数が多すぎる。みんなが揃えば大人達は宴会を始めるかもしれないけど、基本的に遊びには全員参加が常磐家の常識。 「腕相撲大会」 「野球挙」 「王様ゲーム」 十六弥くん亜津弥くん麻紀くんが順番に口にするのは俺達の定番の遊び。何故かどれをやっても最終的に十六弥くんが勝つ。王様ゲームなんて運のはずなのに、何故か高確率で王様を引き当てるのだ。 「十六弥くんめっちゃ強いんだよ。腕相撲ならわかるけど、野球挙も王様ゲームも」 「あ〜なんか想像つくわ」 嵐ちゃんも頂点に君臨する十六弥くんを想像したのか、納得顔で頷いている。 「しかもほら、うちの大人達みんな脱がすの好きだから」 うちの大人達はすぐに相手を脱がしたがる。やたらと勝負に強いので大体子供達は最後裸で終わるのだ。別に今更このメンバーで裸が恥ずかしいことも何もないが。 「俺はいつでも脱げるように体仕上げてるのに誰も脱がさないんだよな」 「十六弥くんが言うとなんかえろく聞こえるの不思議」

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