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イケメンは美女へと変身を遂げる

「やーん!やっぱり可愛い!!流石よレイラ!!カエラもサハラもまだまだ似合うわね!!てか、嵐太郎!!」 「騎麻、真斗恥ずかしがってんじゃないわよ。男ならしゃきっとしなさい。・・・亜津弥は堂々とし過ぎよ」 「和彩、やっぱそうしてると愛紗と似てるわね〜!それにしても麻紀、あなたは似合わないわね!」 テンションの上がるカレンちゃん達に反比例して下がっていく俺達のテンション。正確には俺はそれほどテンションは変わってないんだけどね。 十六弥くんがみんなにした命令とは「女装」だった。 ・・・誰が喜ぶの?と思っていたらまさかのママ達が大喜びだった。むしろカレンちゃん達を喜ばせるためにした命令に近い。 どこから持ってきたのかウィッグにメイク道具に衣装を取り出し、意気揚々と俺達を性転換させていくカレンちゃん達の楽しそうな姿といったら・・・。柚乃や風月、愛紗も混ざって楽しそうに俺達を着せ替え人形にしていった。 「サハラもレイラも可愛い〜!俺の妹可愛い〜!!」 「レイラは間違いなく可愛いな」 「カエラもサハラも似合ってる!ウケる!!」 小さい頃から撮影で女装をさせられていた俺達には、メイクもスカートも特に抵抗がない。似合うし。昔より男っぽさの強くなった体もうまい具合に衣装で隠されている。ちなみに色違いでゴスロリ衣装を着せられている。 それに対してまだまだ体つきも少年の和彩は、身長こそ違うが愛紗とよく似ている。二卵生でも双子は双子ということか。 そして普段の男らしい見た目から一転クールビューティへと変身を遂げた騎麻と真斗。女の子特有の柔らかい丸みは無いが、太腿近くまでスリットの入ったチャイナドレスがやたらと迫力のある美人に仕上がっている。困り顔の騎麻と考えることを放棄した無表情の真斗。 そして問題なのが残りの三人。 「嵐ちゃん!そんな死にそうな顔しないで!意外と俺タイプだよ!!」 「亜津弥は・・・ちょっと迫力があり過ぎね」 「なんでバッチリメイクしたのに普段の麻紀にしか見えないのよ!」 タイトなロングドレスを着せられロングヘアのウィッグを被った嵐ちゃん。赤いリップが印象的な美人に仕上がっている。だが、今にも首を吊りそうなこの世の終わりのような表情なのが目につく。 そしてパンツの見えそうな程のタイトなミニスカートで女王様のように脚を組んで座る亜津弥くん。その手に持っている羽付きの扇はなんだ。美人ではあるが、やっぱり女王様感が全面に出過ぎている。無いはずのピンヒールと鞭が幻覚で見えるのは気のせいじゃない。 最後に麻紀くん。どうしてというか、何故というか、服こそ完璧に体型を隠しつつ女性らしいワンピースを身につけている。が、顔が完全に麻紀くんなのだ。いや、間違いなく麻紀くんなんだけど、リップやアイメイクもしっかりしているのにいつも通りの麻紀くんにしか見えないのだ。 「デカくてごついやつばっかだなおい」 「セクハラしながら言う台詞じゃない」 残念そうな顔をしながら俺のスカートを捲りあげる手を叩き落とす。さっきまで爆笑してたくせに文句を言うんじゃない。 「それにしてもよくこんなに服あったね。しかも俺達が着れるサイズの」 「用意してたに決まってるだろ」 「私が作っておいたの」 にやにやする十六弥くんとドヤ顔のカレンちゃん。確かに罰ゲームで使うにしてはデザインも作りもやたらと凝っていると思った。・・・カレンちゃん忙しいのに何やってんだろ。 「・・・今すぐ脱ぎたい」 「今日は寝るまでこのままだぞ」 女装にかなり抵抗があるのか嵐ちゃんは今にも服を脱ぎ捨てそうな勢いだ。イケメンだからなかなか女装も様になってるのに。まあ、剥き出しの肩幅と腕の筋肉は全く女の子じゃないけどね。 「全裸の方がましだ」 「えー嵐ちゃんえっちー」 しかしこの服暑いなー。エアコンが効いているとはいえ、布が何枚も重なったスカートやフリルのたくさんついた胸元。スカートの下に穿いたタイツも暑い。 ついいつものように足を開いて座りスカートをパタパタと扇いで風を送る。 「こら、女の子はそんなことしないのよ」 「俺男の子なんだけど」 だめよ?とカレンちゃんに怒られる。可愛い。その後は何故か写真撮影会が始まり、様々なポーズ角度で大量に写真を撮られた。十六弥くんを囲んでのハーレム(?)状態での写真など、謎の写真も。

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