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海だー!
「ティノ待って待ってー!!」
「わふっ」
強い日射しが水面に反射する。砂に足をとられつつ元気いっぱいに目の前に広がる海目掛けて走っていく。
今日は仕事で明日には戻ってしまう十六弥くんとカレンちゃんと遊ぶためにみんなで海に来ている。海に初めて来たティノのはしゃぎようがすごく、着いた瞬間に海に一直線だ。
「餓鬼は元気だな」
「今だけよ、どうせ30分くらいでバテるわ」
まだ水着にすら着替えていない状態で駆け出した俺達の姿に、呆れた様子の十六弥くんとカレンちゃん。サングラス姿で風に髪を靡かせる様子は完全にここが日本なのを忘れさせる程に異国感が溢れ出ている。
「もう、年寄りみたいなこと言わないでよ」
「お前らはいかないのか?」
走り回る弟を眺めつつ、ごそごそと荷物をあさっているカエラとサハラ。二人は行かないのだろうか。
「レイラがバテた時用に救護スペース作ってから行くよ」
「カレンちゃんの寛ぐスペースも用意しないとね」
せっせとパラソルや日陰となるテントを組み立て、その下にハンモックやベンチを用意していく二人。充電式の簡易冷蔵庫にドリンクを詰め、スピーカーから音楽を流し始める。何とも手際がいい。
「ほらほら、後はやってやるからお前らはレイラが服のまま海に突っ込む前に回収して来い」
「「はーい」」
既に水際でバシャバシャと水を掛けて遊んでいるので手遅れな気もするが、今ならまだ大丈夫だろう。
「レイラ〜水着に着替えてから遊ぼ〜」
「ほらほらティノも一旦テントに戻ろうね」
膝下まで海に入っているレイラと完全にびしょ濡れのティノを捕まえる。折角盛り上がっている所を捕まえられたティノがあからさまに耳と尻尾を垂らしてしょんぼりしている。そしてレイラは若干既に暑さにやられているのか顔が赤い。
「今日天気良すぎ」
「ほんとそれ〜日射しが痛い」
「日焼け止め塗りたくらないとな・・・」
アルビノで日光に弱い俺達。TOKIWAの特製の超強力日焼け止めがあるとはいえ、全くダメージがない訳では無い。外で遊ぶことは好きだが、こういった点は考えものだ。
でも、この夏どうしても俺達は海に行きたかった。そして折角なら天気のいい日に。その理由とは・・・
「やっと戻ってきたか」
「みんなも水着になりなさい?」
テントに戻るとそこにはシンプルな黒の水着を穿いた十六弥くんと、同じく黒のシンプルなビキニ姿のカレンちゃん。
そう!ビキニ姿のカレンちゃん!!
フリルや柄などの一切ないシンプルな三角タイプのビキニ。ショーツは少しハイレグで元から長い足が更に長く見える。細身なのにボリュームのあるおっぱいや、キュッとくびれたお腹、重力など知らないといったように引き締まったお尻。これはもう、
「「「最っ高」」」
「ありがと♡」
ああもう可愛いなにあれやばい。やっぱカレンちゃんレベルになるとシンプルが一番似合う。カレンちゃんのスタイルの良さが際立つやばい。
きっと同じことを考えているカエラとサハラが横でうんうんと頷いている。
「え、てかカレンちゃんもしかしてもう日焼け止め塗った!?」
ほんのりカレンちゃんから日焼け止めの匂いがしている。カエラとサハラも気づいたのかハッとしている。
「俺が隅々まで丁寧に塗った」
「「「ええぇぇーーーっ!!塗りたかったぁ〜〜〜・・・」」」
なんという事だ・・・。今日の楽しみの一つが・・・。勿論ビキニ姿が見れたのは嬉しい。でも、常磐の室内プールではなくわざわざ日射しの熱い海に来たもう一つの楽しみが!!カレンちゃんの全身に日焼け止めクリームを塗るという楽しみが!!!
「うるせぇうるせぇ。お前ら全員塗ってやるからさっさと着替えろ」
「「「・・・せめてカレンちゃんに塗られたい」」」
落ち込む俺達など気にしない十六弥くんに急かされて水着へと着替える。おねだりしまくった結果、カレンちゃんに日焼け止めを塗ってもらえテンション復活。放置されてちょっと拗ね気味の十六弥くんはティノと遊んでいた。
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