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ほのぼの海水浴

「オラっ」 「ぅわぁっはーっ!!」 ザッバァァアァアン!! 十六弥くんに抱えられぐるぐると回されるとその勢いに乗せて遠くに放り投げられる。ふわっと少しの間の浮遊感を味わったのち、大きな水飛沫を上げて水面にぶつかる。咄嗟に息を止めるが僅かに鼻と口に海水が入りむせる。 「ゲホッ、ぅえ・・・ッ、、」 ・・・楽しい。 俺がむせている間にカエラとサハラも次々に投げ込まれ悲鳴と水飛沫が上がる。軽々と俺達を遠くに投げる十六弥くんの腕力は流石としか言えない。身長こそだいぶ近づいたが体型は程遠い。ゴツすぎない程よい綺麗な筋肉が太陽の下で健康的に輝いている。 もう一度投げてもらおうと十六弥くんの方を見ると、そこには衝撃の光景が。 「ほれ、次行くぞ〜」 「わんわん!!」 十六弥くんが頭上に抱えているティノの姿。ティノは嬉しそうに尻尾を振っているけど・・・その高さから投げるのは危ない! 「待って待って待って!!その高さはダメ!!ティノ死んじゃう!!!」 ただでさえ190cmを超える十六弥くんが手を伸ばすと3m近い。そんな高さから小さなティノを放り投げたら海水にぶつかる衝撃はなかなかなものだ。いや、大丈夫なのかもしれないけど、でもなんか怖い!ティノも尻尾を振ってる場合じゃないよ! 慌てて十六弥くんに飛びかかるのを軽く避けられる。その間もティノは高々と掲げられたままで・・・ 「十六弥くんやめてーーー!!!」 「ばーか本気でこの高さから投げる訳ないだろ」 「わふっ、」 バシャンっ 本気で焦った俺は十六弥くんに再度飛びかかると同時にティノをポイっと放り投げられた。それはさっきまでの高い位置からではなく、手を下ろした腰辺りの位置からで。 ・・・騙された。 「びっくりしたじゃん!!」 「俺も予想よりも本気で飛びかかってくるからびっくりしたわ」 ティノを投げたと同時に飛びかかった俺に押しつぶされるように海水にダイブした十六弥くん。1m程の深さしかないのですぐに顔を出すが、海水が口に入ったのかしかめっ面だ。 投げられたティノは楽しかったのか嬉しそうに俺達の周りを泳いでいる。無事でなにより。俺は寿命が縮む思いだったよ。 「十六弥私も〜」 「任せろ」 カレンちゃんが自分も投げて欲しいと両手を広げて待っている。可愛い。その腕の中に飛び込みたい。 可愛いカレンちゃんの姿に十六弥くんがルンルンで近づく。良いな〜俺も抱きしめたい。まあ俺なら抱きしめたまま離さないけどね。 「よし、飛んできたカレンちゃんは俺が受け止める」 「俺も」 「さあ来い」 「逆に危ねぇわ」 カレンちゃんを受け止めるべく両手を広げて待機する俺達。我が家はみんなカレンちゃんが大好き過ぎる。 お姫様抱っこでぐるぐると回り手を離すと、その反動に任せてカレンちゃんの身体が宙に浮く。そのまま勢いよく飛んで・・・ 「きゃぁぁあぁっ!!」 「あ、やべっ、飛ばし過ぎた」 「「「カレンちゃぁあん!!!」」」 バッシャァァアァアンッ 先程までの俺達を投げる時の力加減でカレンちゃんを放り投げた十六弥くん。体重の軽いカレンちゃんは予想より速く、高く飛び、悲鳴と共に海水の中に消えていった。 別に怪我をする程ではないけど、想像を超える飛躍ぶりにみんなドキドキした。十六弥くんは手加減というものを覚えるべきじゃないだろうか。 「っぷは、、びっくりした!!」 水から出てきたカレンちゃんのびっくりした顔に一安心。逆にその顔が可愛くてみんな癒された。

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