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俺の嵐ちゃんです

「どうですか?」 女の子のうちの一人が嵐ちゃんの腕に胸を押し付けるように身を寄せてきた。・・・女の武器を出してくるなんて。もしかしなくても嵐ちゃん狙いなんだろう。 ・・・でも嵐ちゃんは俺のだから。 嵐ちゃんは優しいから相変わらず密着したままの女の子を振り払うことはしない。俺やカエラサハラの前にも女の子が2人、騎麻と真斗の前にも1人がいる。でも俺の視線は目の前の女の子ではなく斜め前の嵐ちゃんに。 ・・・ちょっとおっぱい押し付け過ぎなんだけど。 面白くない。そう思うと同時に俺も嵐ちゃんに引っ付きたくなった。すぐに手の届く距離の嵐ちゃんに一歩近付き、そのまま後ろから抱きしめる。肩に顎をのせ至近距離で嵐ちゃんを見つめると優しい色をした瞳が目の前に。 「嵐ちゃん、俺あっちのクレープ食べたい」 「行くか」 自然な流れで女の子に掴まれていた腕を離させ、そのまま優しく俺の頭を撫でる。あーーちゅーしたい。 「俺もクレープ食べる」 「二人も行くだろ?」 「そうだね。真斗、行こう」 「ん」 俺と嵐ちゃんがクレープの屋台に向かおうとするところにカエラとサハラが続き、騎麻と真斗も一緒に歩き始めた。 自分達の方を振り向きもしない俺達に戸惑う女の子達。それでも一切気にした様子のない俺達の様子に諦めたようだ。 「あ〜あ、行っちゃった」 「あんなイケメンもう二度と会えないわよぉ〜!」 「ちょっと、固まってどうしたの?」 嵐ちゃんに抱き着いていた女の子があまりに放心状態のため他の子が声をかける。 「・・・鼻血出そう」 「え?!」 至近距離で俺と嵐ちゃんのやり取りを見てしまったその子は、あまりの甘い空気と色気にあてられてしまったようだ。真っ赤な顔でその場にしゃがみこむ。 「なにあの甘え方!なにあの表情!なにあの二人〜!!!」 背後から聞こえたそんな声はスルーし目当てのクレープの屋台へ向かう。さっきのはサービス。嵐ちゃんのえっちな表情を見せてあげるのなんか今回だけだぞ。おっぱい押し付けられても眉一つ動かさないけど、俺が引っつけば一瞬であんな顔になるんだから。すき。 そう思いつつさっきまで女の子が抱き着いていた方の腕をぺたぺた触る。ちゃんと上書きしとかないと。 「ぷふ、レイラがマーキングしてる」 「珍しく妬いてるのか」 カエラとサハラが言うようにちょっと妬いた。知ってる人が嵐ちゃんと触れ合うのは特に気にならないけど、知らない人はダメ。しかも今回みたいに下心があるのなんてもっとダメ。 「嵐ちゃん知らない人とイチャつくの禁止だから」 「・・・イチャついてはないけどな」 苦笑いをしつつ頭を撫でられる。今俺はちょっと拗ねているので全力でご機嫌取りをして欲しい。 「自分は友達に抱きついたりしょっちゅうしてるのにね」 「友達はいいの。嵐ちゃんも友達ならいいよ」 「嵐はそういうタイプじゃないからな」 騎麻が言うように普段から友達に対して距離感近めの俺が言うのもおかしな話かもしれない。でもそれは親愛。ハグは挨拶。 それに友達とのスキンシップはちゃんと嵐ちゃんから許可が出ている。初めは距離の近さに突っ込まれもしたけど。でも誰にでもっていう訳ではない。 「レイラは無意識で自分に甘い人を察知して甘えるからな・・・諦めた」 「えぇー何それタチ悪いね」 「自分で言うな」 だって甘やかされるの好きなんだもん。でも嵐ちゃんに甘やかされるのが一番好き。

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