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もっと他に言うことあるだろ
「みんなに重大発表があります」
夏休みも終わり再び始まった学園での生活。夏休みのふわふわした感覚から徐々にいつもの日常が戻り始めた頃。
俺達はいつものように放課後の生徒会室に集まって仕事をしていた。来週からは体育祭の練習なども始まるので忙しくなる。
「・・・なんで敬語?」
「どうしたのレイラ君、かしこまって」
それぞれの机に向かって仕事をしていたみんなの視線が俺に集まる。
「先週、アンケートしたじゃん?」
「体育祭アンケート?」
「そうそう」
体育祭について何か面白い案や要望がないかと思い、先週思いつきで各クラスにアンケートを配った。今までの種目の改正案でもいいし、更に面白い競技があれば参考にしようと思ったのだ。
そして俺はさっきまで集まったアンケート用紙の内容を確認していた。その結果が今、まとめ終わったわけで。
「結論から言います。ごめんなさい」
「「「「「「「「え」」」」」」」」
「ごめんなさい」
そんな意味がわからないみたいな顔して俺のこと見ないで。俺だって意味わからないんだから。いや、意味はわかる。だって俺が作ったアンケート用紙の結果なんだから。
「なにについて謝ってるの?」
「それが・・・」
騎麻に説明を促される。いや〜、それがね・・・
俺が作ったアンケート用紙はシンプルに“現種目の改善案”、“新種目の提案”、“体育祭での思い出”。そして、余白があったので最後に“生徒会への要望”という4項目だけだった。
配ったのは各クラスに1枚づつだったので簡単にクラスで出た意見を書いてくれればいいな、と。それを参考に次の委員会での議題を考えようと思ったのだ。
しかし、
「現種目の改善案、“もっと過激に責め気味に”、“仮装障害物レースの衣装を女装オンリーに”、“競技中は上裸に”、“借り人競走の札に生徒会を”」
「新種目の提案、“グラウンドの中央で愛を叫ぶ”、“水かけ合戦”、“女装レース”、“野球挙バトル(服を剥ぎ取り合う)”、“ローション相撲”」
「体育祭の思い出、“レイラのセーラー服”、“パンチラ”、“生足”、“お姫様抱っこ”・・・」
「・・・生徒会への要望、“ご褒美と思い出をください!”、“レイラ君今年も期待してる♡”」
「「「「「「「「・・・」」」」」」」」
みんなの視線と沈黙が痛い。ビシビシと刺さってくる。いや、言いたいことはわかる。わかってるから先に謝ったんだよ、俺は。
「学園の危機がここでいきなりさらけ出されるとは思ってなかった」
俺がアンケートに求めたのは学園の惨状を暴露することでは無い。めくるめく青春を楽しくド派手に謳歌する為のみんなの意見を求めていた。うちの学園の生徒はもっと頭のいい回答をしてくれると思っていたんだけど、なぜ?
いや、わかる。男子高校生なんてのはノリと勢いの生き物だってことは。俺だってそうだ。そりゃ堅苦しいよりもバカでふざけた内容の方が楽しい。
ただ・・・
「なんか思い出の内容をみる限り、みんなが欲望全開になったのって、俺のせいっぽい?」
それだけが原因ではないと思う。というかそう信じたい。元々俺が来る前から騎麻や生徒会のみんなは人気だったし、ファンクラブを持っている人間は何人もいる。
「・・・レイラのこと好きな人間の幅が広い上に、フレンドリーだから距離感も近いからな」
「ちょっと無茶なことも言ったらやってくれそうな感じがするもんね・・・」
言葉を選びつつ言いにくそうにそう言う騎麻と響ちゃん。のいちゃんやまみちゃん達もうんうんと控えめながらしっかりと頷いている。
アンケートととしてみんなの意見を聞いてしまったからには、その意見を全く取り入れないということは出来ない。むしろそれでみんなが楽しめるなら積極的に取り入れるべきだ。
「とりあえず、日焼けは無理だから上裸はなしかなぁ・・・」
「他のも無理なのいっぱいあるだろ」
「ちなみに生徒会メンバーそれぞれに個別の願望を書いてるのもあったから、あとで見てみて」
みんなの顔が面白いくらい嫌そうに歪んでいる。
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