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ドキドキわくわく女装レース

女装レースとはつまり、女装をして走るレースなのだが・・・全員足元はピンヒール着用だ。俺も例外ではなく用意されたピンヒールを履いてみたが、なんか俺のみんなより高くない? 「レイラ君!やっぱり断トツ可愛い!ミニスカからの脚線美の破壊力が!!踏まれたい!!」 そう大声で俺を賞賛する鷹をお望み通りぐりぐりと踏んでやる。そう、鷹も女装レースの出場者なのだ。ガタイのいい鷹の女装は、やはりというか、まあ、似合わない。そして足元は勿論ピンヒールを履いているのだが、その足元が小刻みにぷるぷると震えている。 「・・・それで走れるの?」 というか、鷹だけではない、周りに控えている他の生徒も皆産まれたての子鹿状態だ。カレンちゃんに遊びでヒールを履かされたことがある俺は走るのもギリギリ問題ない。だが、どう見ても俺以外の生徒は立つのもやっとのように見える。勝負になるのだろうか。 実行委員に連れられ入場門に移動する。あまりにも子鹿具合が可哀想な鷹の手を引き移動すると、保護者席で十六弥くん達を発見。 「うわ、ほんとレイラ君のお父さんお母さん美形過ぎ!でもやっぱ俺はレイラ君が一番タイプっす!」 「はいはい」 適当に鷹の言葉を流すが、今俺は下半身の違和感に耐えるのに精一杯なのだ。ミニスカ丈の赤のチャイナドレス姿に髪の毛も軽くアレンジされ、メイクも少しだがしている。それは他の生徒も同じ。だが決定的に違うのが、俺がスカートの下に履いているのが、Tバックだということ。 (みんな普通のパンツ履いてるじゃん!!) というのも、控え室で女装レースに出る選手は着替えやメイクをしていたのだが、俺の衣装には今履いているTバックが一緒に用意されていた。おかしいとは思いつつ隣で着替えていた鷹に聞くと、 「みんなパンツも履き替えるらしいっすよ!スカートの下からトランクスとかはみ出るのもダサいし、タイト衣装だとライン出るからって」 あの時のいい笑顔の鷹を疑わなかったのは、鷹のメイド服と一緒に下着が用意されていたから。あっさり納得した俺が馬鹿だった。どう見ても隣にいるチアリーダーのスカートの裾からはボクサーパンツがちらちら見えているし、その隣のナースはくっきり下着のラインが出ている。 「・・・鷹、騙したな」 「いやぁ〜あんなにあっさり履いてくれるとは思ってなかったなぁ〜」 ペラっと捲ってみると鷹も普通のボクサーパンツを履いている。ムカついたのでそのパンツをズリろしてやろうかと思ったが、逆に喜ばれそうなのでやめた。 それにしてもお尻がめちゃくちゃすーすーする。しかもこのパンツ、やたらと布面積が狭い。・・・走ってる最中にこぼれないだろうか。あれが。 スタート位置に並ぶとグラウンドからはかなりの歓声が上がった。やはりというか女装レースに出る選手の顔ぶれはなかなか中性的で整ったものが多い。鷹のようなやたらと男らしいお姉様も混ざっているが。 『なんと素晴らしい光景が目の前に広がっているのでしょう!!色とりどりの美女(?)がグラウンドに集結しています!!しかしこの中でも一番目を引くのは白髪の天使!赤いチャイナドレスが美しい常磐レイラ選手でしょう!!!あのスリットに手を入れてみたい!!!!』 ・・・あの放送部そろそろ殴ってもいいだろうか。 目の前で最初の組が走り出す。・・・走り出しているのだが、予想通りまともに走れているのは半数以下。あとはぷるぷると震える足で一歩づつ進んでいる。その姿があまりにもシュールで歓声と共に笑い声がグラウンドに響いているが、出てる選手はみんな笑える状況ではない。 走っている本人達は本気だし、待機している選手も次は自分が同じ醜態を晒すと思うと笑うことが出来ない。 やってきた順番にスタート位置につく。ピストルの音と共にゆっくりと走り出すが、どうにか問題なく進めそうだ。しかしただでさえ短いスカート丈なのにサイドに入ったスリットのせいで、あまり足を広げるとかなり際どい所まで見えてしまう。 「え、レイラちゃん、下履いてる?」 「もしかしてノーパン!?」 「やばい!鼻血出そう!!」 その際どさにざわざわとグラウンドがざわつき始めた。チラッと見えた赤組のテントでは頭を抱える嵐ちゃんの姿があった。 「嵐ちゃん!俺ちゃんと履いてるからね!!!」 「・・・わかってる」

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