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俺のメンタルは打ち砕かれました
(嵐太郎視点)
「レイラ君どうだった?」
「十六弥さん達が保護者テントに連れてった」
「レイラ痛いの本当に苦手だからな。まあ父さん達に任せとけば大丈夫だよ、慣れてるし」
テントに戻ると心配顔の響也や他の生徒達に囲まれた。真斗が言うように痛みでテンパっているだけで、特に骨などには問題はないだろう。ぱっくりと裂けていて血がかなり出ていたが、縫うほどではないらしい。ただメンタルの方が重傷らしく、
「もうやだ痛い動けない」
と言って完全に駄々をこねる子供のようになっていた。十六弥さんは機嫌を直してからこちらに戻すと言っていたが、あの完全に臍を曲げた状態から機嫌は直るのだろうか?
「鷹もあっちのテントで相当しょげてる」
「まあ、仕方ないだろ。あれは事故だ」
「ピンヒールは危なかったかなぁ〜」
「許可したのレイラだから仕方ないっすよ」
わざとではないとはいえレイラに怪我をさせた鷹は相当落ち込んでいるらしく、あちらもあちらで大変そうだ。ただ、レイラにTバックを履かせたのは鷹らしいので多少は落ち込んでもらわないと困る。俺ですらTバックなぞ履かせたことがないというのに。
それにしてもレイラの打たれ弱さにも困ったものだ。あれか、あれは甘やかし続けた代償か。俺も甘やかし過ぎだろうか。
でも、甘やかしてしまうんだよなぁ・・・。
(嵐太郎視点終了)
その頃保護者テントではーーー
「レイラ君相変わらず可愛いわね」
「もうこのままおじさん達とお茶してようぜ」
「ほらほら泣いてたら可愛い顔が台無しだぞ?」
「お菓子あげましょうね」
TOKIWAの顔見知りの社員に囲まれ甘やかしまくられる常磐レイラ17歳。完全に扱いが幼稚園児相手である。というのも十六弥の足の間に座って未だ目をうるうるとさせているレイラ。ぶすっと唇を尖らせて膨れている姿は実年齢よりかなり幼い。
「お前らあんまレイラを甘やかすなよ」
「いいじゃないっすか!俺らたまにしかレイラ君に会えないんだし!」
「たまに会った時くらい可愛がらせてくださいよ〜」
「だったらたまにしか会わない俺のことも可愛がれよ」
ええーーーっと声を上げる社員達。年齢としては十六弥より年上な者がほとんどだが、レイラと違い可愛げがあるタイプでは十六弥を可愛がるのは無理があるだろう。
「レイラ、まだ出番残ってるんでしょ?」
「・・・痛いから動けない」
「あら、じゃあもう私にかっこいい姿見せてくれないの?」
「・・・」
カレンちゃんが俺の顔を覗き込みながら首を傾け聞いてくる。確かに、カレンちゃんと十六弥くんはわざわざ俺を見に飛行機で何時間もかけて来てくれているわけで、俺はまだ活躍しきれていない。
でも手足が痛いのは本当。痛みで硬直していた体は多少動くようにはなったが、少し動いただけでも引き攣るように痛みが走るし、患部は熱を持って腫れている。
「レイラ、このままここにいてもいいが、出ないと後悔するのはお前だぞ?」
「・・・」
「体育祭は来年もあるが、今年の体育祭は今年だけだ」
「・・・ん」
十六弥くんにぐりぐりと頭を撫でられ後ろから抱き込まれる。その安心する圧迫感と温かさにささくれていた心が落ち着きを取り戻していく。でも十六弥くん、
「あんまギュッてすると、い〜た〜い〜」
「ああ、悪い悪い」
「に゛ゃっ」
傷口のギリギリを押され痛さにまた涙が溢れそうになる。まだ血が止まっていないので傷口に当てたガーゼに血が滲んでいて見るのが怖い。
その後しばらくの間保護者席で大人達に可愛がってもらいどうにか再び、体育祭に出る気になれた頃に騎馬戦の招集の為嵐ちゃん達が迎えに来た。騎馬戦・・・戦えるだろうか。
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