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今年はホストになります
「では、今年の俺達2-Sのクラス出し物は “ホストクラブ” に決定!」
去年に引き続きクラス委員長である迅が纏める2-S。バーンっと大きく黒板に書かれた “ホストクラブ” という文字に教室内は盛り上がる。
「はーい!接客中は飲酒オッケーですかー?」
「はい、ちょっとレイラは後で職員室に来なさい」
真顔で言う俺に迅ではなくハジメちゃんから呼び出しをくらう。冗談だよ冗談。俺学園内では良い子にしてるし。
クラスの出し物として決まったホストクラブ。勿論ドンペリもシャンパンタワーもない。ホスト役の生徒がお客さんの指名で各席を周りつつ接客をすることを除けば、普通に飲食物を出すカフェのようなノリだ。ぶっちゃけ去年のコスプレ喫茶とあまり変わらない。コスプレがホストのコスプレに統一されただけだ。チェキの代わりが席でのお喋り。
「でも、指名制とか確実にレイラに指名が偏るんじゃないか?」
クラスの誰かが言った言葉にみんなの視線が俺に集まる。
「ん〜、自分で言うのもなんだけど、No.1は俺だよね」
別に過度の自信とかではなく事実として、人気No.1は俺だろう。控えめに言って俺はイケメン、かつ可愛さと色気を兼ね備えた最強の見た目を持っている。性格も、まぁ悪くないだろう。
「可愛い系だけでいくとケイには敵わないけど、他の系統なら負ける気しないなぁ」
「・・・事実だから否定はしないけど、ムカつくな」
「まあまあ落ち着いて」
隣の席から要が軽く蹴ってくるのを笑いながら凌が宥める。あぁ、ごめんごめん、要の中でのNo.1は凌だもんね。そう言うと顔を真っ赤にする凌が面白い。
「ちゃんと対策は考えてある」
そう言うと迅が黒板に何かを書き始めた。それはどうやら配役のようで、ホストやボーイ、調理係の3つが大きな役割分担のようだ。それを暫く眺めていると、そのままホストの下に何人かの名前を書き出した。
「ホスト役は俺の独断と偏見でもう決定済だ。異論はないと思うからその間進めるぞ」
「え!ええ!?」
「いや待った待った!」
「異論ある!異議あり!!」
「拒否権はない」
ええーーーっ!!と声を上げる何人かの生徒。ざっと目を通した内容として、クラスのイケメンと可愛い系は全員ホスト役だ。まあ、予想通りのメンバー。その中には要や凌も入っていた。嫌そうな顔をして迅に抗議の声を上げる要と、無理無理無理と慌てている凌。この反応も予想通り。
そして同じような反応をしている生徒がもう一人。
「迅〜俺こういうの苦手だって知ってるでしょ〜・・・」
「大丈夫だ雪成、お前なら出来る!」
ゆっきーは大きな体に反して中身はほわほわとしていて癒し系。そして2-Sの中でも数人いるファンクラブ持ちの一人だ。しかし、その控えめな性格からか、目立つホストという役に不安があるらしい。その困ったような表情にすらきっと人の良さが滲み出ていて人気なんだろうなぁ。
「ホスト役にはそれぞれ客の好みに合わせてキャラ設定をする。それで客の分散を狙う」
「キャラ設定〜?」
黒板に書かれた名前の下にそれぞれそのキャラ設定というものが書き出されていく。
「ドS、お調子者、お兄ちゃん、俺様、ヘタレ、ツンデレ、不思議、萌え、お色気・・・キャラっていっぱいあるんだな」
次々と書かれる迅の考えたキャラ設定の多さに素直に驚く。そして俺の名前の下に書かれた文字を見る。
“甘えん坊の末っ子”
「え、得意」
つか、普段通り?つまりそのままで行けってことね。おっけーおっけー。余裕じゃん。学園の生徒が相手なら緊張もしないし知り合いも多いので簡単そうだ。でも、2日目の一般公開の日はどうだろう。信じて貰えないけど、俺意外と人見知りするんだよなぁ。
すると、それを察していたかのように迅が何かを更に黒板に書き足し始めた。
「一般公開の日はペアを組んでいざって時に助け合えるようにする」
そう言って俺と線で結ばれたのは “お兄ちゃん” キャラのゆっきーだ。
「レイちゃんと一緒なら安心かも〜」
「お兄ちゃんよろしく」
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