290 / 311
突撃!放送部
「で、あんだけ騒いでたんだから何をやるか良い案があるんだろうな?」
とりあえずソファーに座り、言い出しっぺの鷹を見る。・・・なんかこいつまた身長伸びてない?あ〜やだやだ。俺よりでかい年下とか可愛くない。最近真斗もまた身長伸びてきてるし、真斗にまで身長抜かれたら悲しい。
「ちゃんと考えてるっすよ!俺ダンスパーティーやりたいんですよー!!」
「ダンスパーティー?」
鷹が言いながら隣にいた渚くんの手をとり、くるりと回る。その動き自体は社交ダンスの様だが、体格の差があり過ぎて完全に渚くんが宙に浮いている。
「好きな人とか誘ったり、仲良い人で踊って騒ぐ!楽しいし思い出になると思うんすよね〜!!」
鷹がイメージしているのはプロムのような感じだった。男女のカップルや仲の良い友達で参加する、卒業式の頃に開かれることの多い学生のパーティー。天羽学園は男子校なので参加者はもれなく男だらけにはなるが、面白いかもしれない。それなら、
「後夜祭としてやろうよ。それならみんな参加出来るし会場のスケジュールも変えなくていいし」
学園祭の最中はそれぞれクラスや部活の分担もある。パーティーというならどうせなら人数が多い方が楽しい。だったら全てが終わった後夜祭にそれを回せばいい。それなら出し物というわけでは無いし、会場のスケジュール組みの変化もない。
カズマやモリー達料理人にお願いして料理を用意して貰ってグラウンドを使って大々的にするのもいい。
「レイラ、学園長に連絡」
「任せろ!」
真斗に言われすぐにiPhoneを取り出す。基本的に生徒の自由を大切にしてくれているけど、許可は取っておいた方が良いだろう。
「うん、わかった!・・・うんうん、ははっ、また遊びに行くね。・・・え〜っ楽しみ!・・・うん!じゃあまたね!」
一通り話をした後に通話を切る。みんなの視線が集まっているけど、まあ会話の様子を聞いてたらわかるよね。
「和臣おじさんにお茶に誘われた〜」
「それはいつも通りだろ」
「だよね。後夜祭やってもいいって!」
真斗もたまには遊びにおいでっておじさん言ってたぞ。俺は月に2回くらいは理事長室に言って和臣おじさんとのお茶会を楽しんでいる。いや、もしかしたら最近は週に1回くらいは遊びに行ってたかな?でも真斗はあんまり行かないからおじさん寂しがっている。たまには元気な顔を見せてあげるべきだ。
ま、とりあえず後夜祭の許可は貰った。そうと決まれば料理やウェイターの手配、ダンスパーティーとなると音楽の用意もいる。チラシやポスターも必要だ。
・・・・・・・・・よし、
「ちょっと今から放送室乗り込んで後夜祭するよって放送入れてくるわ」
「え!?」
「ほら、好きな子ダンスに誘ったりするんでしょ?なら早めに知らせといてあげないと」
驚くケイにひらひらと手を振って生徒会室を出る。扉の向こうから何かを言っている声が聞こえたけど、ま、上手く役割分担して準備を進めてくれるだろう。ケイってのほほんしたイメージあったけど、仕事はテキパキとしていて早いからね。
そういや放送室って行ったことなかったな。人いるかな〜。
放送室は生徒会室がある棟とは連絡通路で繋がった隣の棟にある。他にも写真部や天文学部、科学部など文化系の部室も同じ棟だが今まで足を踏み入れる機会があまりなかった。
「お邪魔しまーす」
放送室につくと扉の鍵が開いていたので、とりあえず人がいるようだ。特に確認することなく扉を開けて中に入ると一斉に驚いた表情がこちらを振り返った。
「え!?レイラ君!?!?」
「ど、ど、どうしたのこんな所に来るなんて!!」
「とりあえず!とりあえずよければこちらの椅子に座ってください!!!」
謎にテンパった様子の一年生にすすめられるがままに椅子に座る。放送室にあったありったけの座布団を重ねたその椅子の座り心地はあまりよくない。
「こんな所に来るなんて、どうしたの?・・・あ!もしかして体育祭でテンションのままにアナウンスしてたからそれのお叱り!?!?ついレイラ君の普段見れない生足にテンション爆上がりしちゃって!!ついつい口から本音が漏れ出ちゃったから・・・!!!」
「あ、体育祭のアナウンスしてたのお前かよ」
そういやこんな声をしていた。恥ずかしいことマイクにのせて響かせてたのはお前かこのやろー。土下座する勢いで頭を下げてくるのでとりあえず近くにあった雑誌を丸めてパコンっと頭を叩いておいた。別に痛くはないと思う。
ともだちにシェアしよう!