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楽しみにしててね!
ピンポンパンポーン
『あ、あー・・・ん?これ聞こえてる?あ、聞こえてるんだ。よし、天羽学園高等部のみなさん、こんにちは〜生徒会長の常磐レイラ17歳です。学園祭について、追加の決定があるので放送室を乗っ取りました〜!ははっ!なんかこれ楽しいね!あ、ごめんごめん、えっと、本題なんだけど、今年は学園祭二日目の夜に第一グラウンドで後夜祭としてダンスパーティーをすることにさっき決まりましたー!料理も用意してみんなで騒ぐよ!好きな子や仲良い子誘って楽しい夜をすごそう!詳細はまた決まったら連絡するから楽しみに待っててね〜。ん〜・・・言いたいこと言ったかな?じゃあ、終わり!ばいばーい!』
そう言ってマイクのスイッチをオフにする。まだ詳細は決まってないし、言いたいことは言ったと思う。よし。
「こんなもんかな!」
満足!
俺が放送をしている間、周りでそわそわと落ち着きのなかった放送部員達も放送が終わりホッとした様子。そんなオドオドしなくても機械壊したりしないから大丈夫なのに。
「近くで見るレイラ君まぢ尊い、、!!」
「笑顔が眩しい!!なんという無邪気な放送!!」
「僕感動しちゃいましたぁぁあ〜〜〜っ!」
・・・思っていた反応と違う。なんで俺今拝められてるんだ。放送部は変なやつしかいないな。
よくわからないテンションのまま部員達と握手をしてから放送室をあとにする。どうやら今まで文化部の部室棟に行くことが無かったから、俺が文化部には興味が無いという噂があったらしい。確かにバスケ部やその他の運動部にはちょいちょい顔を出していたけど・・・。それは単に運動したい時に交ぜてもらっていただけだ。
遊びに行くだけで喜んでくれるなら他の部活も一度全て覗きにいってみようか。どんな活動をしているのか知っていた方が学園の運営の中で協力して貰えることもあるかもしれないし。
「あれ、騎麻だ」
再び生徒会室に戻ってみると入口の所に騎麻と、ハジメちゃんの姿が。珍しい人物の訪問を不思議に思いながら近付くと、こちらに気づいた二人が近寄ってきた。・・・なんか二人共顔が怖いな?
「レイラ、お前放送で遊んでんのか・・・?」
「やるならもっとまともな放送の仕方があるでしょ?呑気過ぎてお花畑からの中継かと思ったよ」
どうやら俺の放送の仕方に問題があったようだ。そんな変なこと言ったつもりはないんだけど。
「それはそうと、後夜祭するの?」
「そう!和臣おじさんに許可もらった」
ハジメちゃんは一通り小言を言って去っていった。今度からは放送室を使う時は事前に原稿を提出しろって・・・。面倒だな。騎麻の方はどうやら後夜祭について聞きに来たのが本題のようでそう切り出してきた。騎麻も楽しいことが大好きだもんね。
「後夜祭か〜!いいねそれ!学園で夜のイベントってしたこと無かったからな〜」
「本当はお酒も飲みたいとこだけどね〜!」
「確かになぁ、ま、学園では流石に無理だな」
生徒会室に戻れば予想通りケイが役割分担をして後夜祭に向けての色々な手続きを進めてくれていた。流石副会長。騎麻はそのまま生徒会室に居座り一通りみんなにちょっかいをかけてから帰っていった。きっと今までずっと生徒会長として過ごしていたから、何も無い放課後が落ち着かないんだろう。
「ただいま〜」
寮に戻ると相変わらずの定位置であるソファーで寛ぐ嵐ちゃん。テーブルに参考書が積まれているので勉強をしていたらしい。俺達の部屋は個室を潰して共同で使っているのでテーブルがリビングにしかない。
「Ben tornato(おかえり)」
「なになに、イタリア語の勉強?」
「そ。発音が難しいな」
嵐ちゃんは最近よく外国語の勉強をしている。受験で使うわけではないらしいのだが、外国語系の大学に行くつもりなのだろうか。
「嵐ちゃん」
「ん?」
「Ballerai con me?(俺と踊ってくれる?)」
「Ovviamente(勿論)」
ふふふ。勿論これは後夜祭のお誘い。好きな人を誘うと言われてしまえば、やはり俺には嵐ちゃん以上の人はいない。一緒にいる時間が積み重なる事に嵐ちゃんへの想いもどんどん増幅する。何か特別な会話をする訳では無いし、特別な行動をする訳では無い。でも、一つ一つのことが全て俺達の気持ちを表すことになる。
「当日はどうせいろんなやつに誘われるだろ」
「嵐ちゃんも変わらないと思うよ」
むしろそういうイベントの時くらい他の人達と触れ合うのもいいと思う。
「でも、最後に踊るのは俺にして」
誰にも上書きされることのない最後の相手。嵐ちゃんのその相手は俺しかいないだろう。勿論俺の相手も嵐ちゃんしかいないのだけど。
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