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ステージ上のサプライズ

『では、これより3-Sによるファッションショーを始めます!モデル達のランウェイは勿論、衣装や演出、全てに拘りが詰まっています。是非お楽しみください!!!』 バッと会場内の明かりが落ち、ドッドッドッと体に響く重低音の音楽が流れ始める。テンポが上がると同時にカラフルなライトが光り、もくもくとスモークまで焚かれている。 「すごい・・・」 「かっこいい・・・」 周りの生徒達が思わずといった雰囲気で漏らす感嘆の言葉。リズムよく体育館のステージから中央に伸ばされた道を歩いていくモデル達。先端まで行くとそこでポージングをとり、ターンしてステージへと戻って行く。 圧倒されていた会場の雰囲気から徐々に生徒達の歓声が上がり始めた。そのタイミングで現れた騎麻に会場からはより一層大きな歓声が上がる。最新のトレンドを取り入れたファッションは騎麻の柔らかくも男らしい雰囲気にとても似合っている。他のモデル達とは違い、そのままステージに残り続ける騎麻。それに続くようにあとから出てきた響ちゃんのいちゃんまみちゃん。旧生徒会役員がステージ上に揃った。 「あ、嵐ちゃん」 中央でポーズをとったまま動かない騎麻達の脇を通り中央の道を真っ直ぐこちらに歩いてくる嵐ちゃん。長めの前髪はあえて顔にかかるように崩され、ウェットの質感がとても色っぽい。首元の広く開いたシャツから覗くくっきり浮き出た鎖骨と厚みのある胸筋は、最早高校生の体つきではない。 本来なら先端まで辿り着けばそこでポージングをとるはずが、嵐ちゃんはそのままランウェイから飛び降り正面に座る俺の元にやってきた。 「え、嵐ちゃんなにして・・・」 「お前らも着いてこい」 そう言うと困惑する俺の手をとりランウェイへと引き上げた。そして俺の周りにいたケイ、真斗、鷹、渚くんの4人にも着いてくるように合図をする。 「嵐ちゃんなにこれ?」 「まあ着いてこいよ」 状況が分からないままステージにいる騎麻達の元まで連れていかれた俺達。そして騎麻達と向かい合うように並ばされる。旧生徒会と新生徒会。そしていつの間にか騎麻の手にはマイクが握られており、 「急にステージに上がらされて驚いていると思うけど、ちょっとこの場を借りて俺達から、新しい生徒会のみんなに言葉を贈りたいと思います」 そうマイク越しに話し始めた騎麻。その言葉を聞いて先程まだ歓声を上げていた生徒達も口を閉じ、こちらの成り行きを見守っている。 「まずは、ケイ。ケイとは後輩の中で一番長く生徒会の仕事を共にした仲間だ。学年は違うけど、俺達は年下のケイのことをとても信頼していたし頼りにしていたよ。これからも新しい生徒会を支えていってくれ」 「はい、!」 「真斗、真斗は要領がいい。周りをしっかり見ているし、相手が欲しい時に欲しい手助けをくれる。流石俺の弟、頼りにしてるよ。ただ、出来ればもっと一緒に学園を作っていきたかったな。せめてあと一年早く生まれてくれたらよかったのに」 「無茶言うな」 「ふふ、そうだね。鷹、お前は無茶ばかり言う。もっと考えてから物を言うようにしないと。・・・でも、鷹がいると生徒会の空気が一気に明るくなる。その持ち前の明るさで生徒会だけでなく学園全体も明るくしてくれ」 「任せてください!」 「渚、前よりも人前で話すのが上手になったね。仕事も早くなったし、自分から意見を言うことも多くなった。これからもどんどん渚は成長して行くんだろうね。楽しみにしているよ」 「ん」 それぞれの顔を見ながらゆっくりと話しかけれる騎麻。それを横から見守るみんなの顔もとても和やかだ。先輩として、もしくは兄として、そして仲間としての顔。色々な面が溢れている。 「最後にレイラ。・・・レイラってまだこの学園に来て1年ちょっとなんだよなぁ。しかも生徒会に入っては半年。溶け込み過ぎてずっと学園にいたような感じがするね。でもまだまだ分からないこともあると思う。その時は生徒会のみんなと、学園のみんながきっと助けてくれる。レイラは人を惹きつけるからね。レイラの思う良い学園を好きなように作ってみてよ。ただ、あんま問題は起こさないでくれよ?学園長が心配で倒れるといけないからね」 「はーい」 「形式としては俺達はすでに引退しているけど、この場を借りて改めて、みんな今までありがとう!これからの学園をよろしく頼むよ!」 会場には割れんばかりの拍手が巻き起こった。

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