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微※ 溢れる色香に惑わされ
「急にステージに上げられるからびっくりした」
その後ショーは盛大な盛り上がりのままに終了し、会場に溢れる拍手と歓声に包まれ幕を閉じた。
「よく言う。あんだけ堂々とウォーキングしといて」
「つい、ね」
結局あの後、巻き込まれる形でショーに参加させられた。といっても俺は制服ってかパーカー姿だったし、真斗達1-Sはクラスの出し物で使っていた法被姿だったが。それでもノリノリでランウェイを歩いてドヤ顔でポージングをしていたのは確かだ。楽しかった。そして教室に戻るのが遅くなって迅にめちゃくちゃ怒られた。
「俺だいぶ嵐ちゃんと身長近づいたよね」
横に並ぶと前は斜め上にあった顔が今ではほとんど真横にある。190cmには届かないがその差は明らかに縮まってきている。
「厚みは全然近づかないけどな」
「それは俺の増えた分も嵐ちゃんが更に増えてるからだよ〜」
俺だって前より筋肉も多少増えたし体の厚みも多少なりついた。でも、嵐ちゃんはそれ以上に鍛えられた体になっている。決してゴリマッチョにはならない綺麗な筋肉。・・・部屋ではいつもゴロゴロしているのになんで?息するだけで筋肉つくわけでもないだろうに不思議だ。
「可愛い可愛いレイラくんから男らしさの増したレイラくんに変貌を遂げた俺はいかがかな嵐ちゃ〜ん」
「見た目が多少成長しても中身がまんまだからな。そんな変わらねぇよ。・・・まあ、色気は確実に増したな」
そう言い腰を撫でられる。そりゃ毎日のように嵐ちゃんに愛されてますからね。目の前の美味しそうな首筋にかぶりつく。あむあむ。ん?嵐ちゃんの膝の上に向き合って座ってます。
「あ、こら、痕付けんなよ」
「ん〜?」
阻止するように軽く頭を叩かれるが気にしない。あぁでも嵐ちゃんの衣装首元割りと開いてるんだよな〜でも痕付けたいな〜。うかがうように嵐ちゃんを覗き込めばバッチリと目が合う。フッと口角が上がり、引き寄せられるように唇を重ねる。
ちゅっちゅと角度を変えて唇を合わせ、首の後ろへ回した腕で更にこちらに引き寄せる。
あ〜〜〜〜
「明日に体力残すために早く寝るんだろ?」
「一回だけ」
そう言いつつも早速服を脱がしにかかっているんだから嵐ちゃんだってその気なんだろう。
明日は朝から始まり夜の後夜祭までと一日が長い。暑い夏が終わり涼しくなってきたとはいえ、体力がない俺には一日の活動時間が長いのはなかなかきつい。だから今日は早く寝るつもりだったんだけど・・・ね?
そのまま寝室に移動し、結局一回で終わることも出来るはずが無く寝たのは深夜。ギリギリまで寝ても睡眠時間7時間。俺の睡眠時間は希望として最低8時間。・・・ちょっと楽しみすぎたみたい。
「嵐ちゃんこれはまずい」
「こっちも大惨事だ」
朝起きてシャワーを浴びた際に鏡に映る姿に二人で絶句する。首元や胸元、背中など至る所に残る情事の痕。中でも嵐ちゃんの首筋に集中するキスマークと歯型。・・・言うまでもなく犯人は俺なのだが。ちょっと、というか、かなり自分の独占欲の表れなのか、すごい。
「・・・俺の衣装首元全開だぞ」
「ごめ〜ん〜」
抱き着いた時に丁度目の前になるそこは俺の絶好の餌食なのだ。
そして俺の首筋にも数こそ少ないが肌の白さから異常に目立つ赤い痕が散らばっている。これは多分、ボタンを上まで締めても隠れない。
「迅に怒られる・・・」
「俺も、多分悠仁にキレられるな。風紀を乱すなって」
楽しいはずの学園祭の朝がこんなに気が重くなるとは。大人しく着替えをすませて重い足取りのまま嵐ちゃんと共に登校。普段より早い時間なのに校内は学園祭の準備をする生徒で賑わっている。
学園祭二日目、スタート。
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