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溢れ出る可愛さ

結局泣く泣く要やゆっきー達に十六弥くんから引き剥がされた俺は大人しく教室に残った 。 「レイちゃん元気出して」 今日はペアのゆっきーと一緒。早速入って来たお客さん達に囲まれつつゆっきーが俺の口におやつのチョコレートを放り込む。・・・別におやつで機嫌が変わる程お子ちゃまではないつもりなのだが。 「モデルのLaylaさん、ですよね?」 「雑誌買いました!」 「高校生だったんだ!!」 何度となく掛けられたその言葉。去年とは違い、有名雑誌の表紙を飾ったことで顔と名前の知名度が大幅に急上昇。そして次に言われる言葉がーーー・・・ 「かっこいいのに可愛い!!」 「末っ子キャラ?え、甘えん坊なの?」 「雑誌で見たイメージと違う!」 今までの仕事が比較的クールなイメージが強いからか、喋るとやたらと驚かれる。俺はどちらかと言うと話すスピードがゆっくりだし、基本のベースは笑顔だ。元々クールを装ってるつもりは無いんだけどな。イメージってすごい。 「俺ね、ちっちゃい時めちゃくちゃ可愛かったんだよね。で、その可愛さ持続したまま成長しちゃった」 「なにそれ〜!でもなんだかすごくわかる!」 「絶対小さいとき可愛いもん!」 生まれた時からずっと可愛いと言われ続けて十数年育った俺は、最早 “可愛い“ の英才教育を受けているわけで。いくらかっこつけようが、中身から可愛さが溢れてしまうらしい。仕方ない。 今は断っているけど、テレビや雑誌の取材の話も来ているらしい。いつかはそういう仕事もカレンちゃんの許可がおりればやるつもり。そうなれば俺の性格なんてきっと一瞬でバレてしまうので、今ここで多少バレた所で問題ないだろう。 ほとんどの客からの要望で一緒に写真を撮ることになったが、SNSへの投稿だけはやめてもらうようにお願いした。学園のセキュリティーレベルから問題はないが、もし何かあったら困る。 「うぃ〜〜〜疲れたぁ〜〜〜」 「今の人で最後かな?」 今年は特に問題が起こることなく、あと10分で学園祭二日目が終了する。休憩時間は昨日回りきれなかった教室を回ることで潰れ、午後からもひっきりなしに来る客の相手で終了。昨日に続いて客が注文してくれたドリンクやフードを食べ続けたので、俺の腹も流石に限界。 「俺、もし今後路頭に迷っても食べ物には困らない気がする」 「レイちゃんがお腹空かせていたらみんなが進んで恵んでくれるだろうね」 いや、路頭に迷う予定は無いんだけどね。この後は軽く片付けをしてからグラウンドに集合して優秀クラスの発表を兼ねた後夜祭に突入する。そこには食堂の料理人達による食事も用意されるのだが、俺は食べる余裕が無いかもしれない。 夕方になると外の気温は低く思ったよりも肌寒い。2-Sのホストクラブで着ていた白いスーツから、くすんだ小花柄のセットアップに着替えグラウンドに集まる。真ん中に設置された特設ステージ。そこにはそれぞれに似合ったセットアップで着飾った生徒会メンバーが揃っている。そしてその手元にはギターやベース、ドラムにキーボードが。 「みんなお疲れーーー!!!!」 マイクを通して響き渡る声に返事をするように大きな歓声が返ってくる。後夜祭の初っ端は、生徒会によるライブでスタートだ! ドラムを叩く真斗のリズムに合わせギターのケイとベースの鷹、キーボードの渚くんの音が重なっていく。ギターボーカルを務める俺が歌うフェスなどでよく聴くアップテンポの曲に合わせて、ステージの周りで生徒達が踊り飛び跳ね盛り上がっている。 様々なジャンルの有名曲をいくつか演奏し、次のバンドにバトンタッチ。次は騎麻と響ちゃん、まみちゃん安ちゃんの四人。去年も学園祭で披露していたプロ顔負けの腕前に会場内は更に盛り上がる。 「お疲れ」 「嵐ちゃん」 ドリンクを持って近づいてきたのはほとんど普段の私服姿の嵐ちゃん。後夜祭での服装は自由なので嵐ちゃんのように私服の人や学園祭のままの服装の人、俺たちのように軽めにドレスアップしている人まで様々だ。 「これからは俺との約束の時間か?」 「勿論」

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