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第15話

「帰るね。ごめん」 「海……?」  薄暗い道を歩きながら、海は涙を零した。  僕は、永亮にふさわしい恋人じゃないのかもしれない。   『残念だね』  唐突に、痴漢男の声が甦った。 「残念だよ。残念だよ、もう! 残念だよ!」  痴漢のせいで、永亮との仲まで怪しくなってくる。  明日もう一度だけ、永亮に。  一度だけ、一緒に電車に乗ってもらうように頼んでみよう。 「それでダメなら」  それでダメなら、永亮との仲も、もうダメかもしれない。  とぼとぼと、海は家路を歩いた。

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