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第弍話:蜜吸

公園で泣き続け冷静になった頃にはもう あたりは真っ暗だった。 その時、事が済んだのであろう 綾女から電話が掛かってきた。 最初は無視をしていたが、 電話が鳴り止むことはなく、切れたと思ったらすぐにまたコールが鳴り続けた。 仕方なく電話に出ると普段よりも低い声で 不機嫌な様子の綾女が電話に出た。 「雪夜?今どこ?絶対そこから動くな…… 今から迎えに行くから まさか他の男の家じゃないだろうな? もしお前が他の奴の家にいるなら俺そいつに 何するかわかんないよ?」 僕は意味がわからなかった。 綾女は平気でそう言う事をするのに何故 僕は許されないのだろうと 泣きすぎてぼーっとする頭で一生懸命 言葉を探したが考えるよりも先に 口が動いていた。 「綾女……僕達もう別れようこのままじゃ お互いダメになる…それに時間の無駄だよ…」 綾女からは何も返事がなかった。 ただ電話口からはノイズ音の様な音が聞こえ続けた。 僕は電話を切りベンチの端に 体育座りをし顔を膝に埋めた 沢山泣いた際なのか体がだるく 少しウトウトとしていた時、 誰かが走って近づいてくる足音がした。 ジョギングをしてる人がいるのだろうと 気にしなかったが、その足音は 僕の前で止まった。 顔を上げて見るとそこには息を切らしている 綾女の姿があった。

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