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第伍話:徒花

僕は、綾女とのキスで言うことを聞かない身体にムチを打ちなんとか綾女について行く たどり着いたのは、最上階でエレベーターを 出ると、目の前には何故か一部屋だけあり その他に部屋は見当たらなかった。 綾女は迷うことなくカードキーを差し込み 僕を中に誘導する、僕は目の前の夜景に驚いた。家々や会社のビル、車やバスの明かりが 灯ってとても綺麗だった。景色に気を取られていると後ろから腕を引っ張られた。 驚いて綾女の方に向き直ると綾女は僕にまた、 キスをした。今までして来たどんなキスよりも ずっと深くて溺れてしまいそうだった。 遂には飲み込みきれなくなったお互いの唾液が口の端から滴り落ちた。 その光景だけで僕はもうどうしようもなく グズグズになっていた。 綾女はキスを止め僕の存在を確かめる様に 強く抱きしめ愛撫を始める その時、触れ合った互いの肌が やけに熱を持っていて火傷してしまいそうだなとただぼんやりした思考で思った。 最初は、浮気をしてた事に怒ってたはずなのに 結局は綾女に求められてしまったら流されて 体を許してしまう、拒絶をするのも全てが 口実の為、後から自分は拒否したんだと 言い訳する為、本当は自分が一番繋がりたくて綾女の熱に昂ぶりに離れたくないと 縋り付いている癖にそれを 気付かないフリをしているのだ。 そんな卑怯な自分も身勝手な綾女との関係 全部、ドロドロに溶けて無くなればいいと 思った。 この関係性全てがなくなって仕舞えばいいと 只々、虚しい関係性で結ばれ続けているのだ 何度も終わらせようと考えた。 それでも醜く縋り付き幾度となく継ぎ接ぎを 繰り返して、なんとか不恰好なりにも 繋げて来たこの関係性も 今日この一夜限りで終わらそう、 だから最後にちゃんと笑顔で好きだと伝えて それから離れよう まだ、まだ……夜は永く続いているとそう自分に言い聞かせて綾女が与えてくれる快楽を 安定剤代わりにして身を委ねた。 女の子みたいにみっともなく喘いで、 息も絶え絶えになりながら、 それでもまだ綾女の身体の熱に縋り付いて 揺さぶられなが泣くことしかできなくて それでも、精一杯伝えようと 綾女の頬に手を添えて 涙は相変わらず出てるけど、 無理やり笑顔を作ってちゃんと伝えた。 「綾女……好きだよずっとずっと愛してる」 僕がそう言うと綾女は一瞬驚いた様な顔をして 次にこの世のものとは思えないぐらい飛び切り綺麗な笑顔で、ありがとうって俺も好きだよって言って優しいキスをしてくれた。 そして、僕の事を大事そうに抱きしめると お互い高みに達して僕は綾女のお腹の上に 綾女は僕の中でお互いの白濁を吐き出した。 下腹部に滲んだこの背徳的な気持ちとも ここでお別れなんだ……と思いながらそっと 目を閉じた。

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