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第6-1話授業中の戦闘ごっこ
中間テストが終わって散々な結果でも、俺は気を張っていたらしい。
結果がすべて返ってきて、母ちゃんから次回のテストで点数上がるまで小遣いカット宣言されて、それはもうガッカリした日の翌日。
「……え……今、何時……? はぁぁぁぁ?!」
ささやかながらのテスト勉強に加えて、お隣さんのファンタジーコスプレ寸劇鑑賞を連日していたせいもあって、寝不足が積み重なっていたのは自覚してたけど、昼の十時かよ! 大遅刻確定じゃねーかっ!
慌ててベッドから飛び起きて制服に着替えてリビングへ向かうと、テーブルの上に弁当とバナナ、そしてメモが置かれていた。
『しっかり行って、怒られて来なさい 母より』
うう……高校に入ってから、義務教育終わったんだし自分のケツは自分で拭けるようになってね、という母ちゃんの教育方針で、朝の起床が遅くても起こしてくれないようになった。ガミガミ怒るタイプじゃないけれど、結構シビアな愛のムチは効きまくる。
俺は急いでバナナを食べると、弁当をカバンに入れて家を飛び出した。
どうにか三限目の終わりぐらいには滑り込めそうか? でも授業中に駆け込んで注目されたくないから、休み時間になるまで待ってたほうがいいか……?
考えながら走り続ければ、授業中で静まり切った学校へ到着する。
靴を履き替え、乱れた息を整えている最中――。
「――くな……待て! ――……逃げるのだけは――」
玄関から近い所にある階段あたりから、人の声と、強く踏み込んだり走ったりする足音が聞こえてくる。
声は、たぶん圭次郎。
授業中なのに何やってんだ? まさか教室抜け出して寸劇の練習?
足を忍ばせて曲がり角まで移動し、俺は少しだけ顔を覗かせて様子を探る。
てっきり圭次郎だけだと思っていたらそうじゃなくて、思わず俺の目が点になった。
階段の前に立ち、圭次郎は険しい顔で見上げていた。
その視線を追っていくと――階段の踊り場に立つ、全身黒タイツの男。顔まで黒いマスクで覆い尽くしてやがる。
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