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第8-1話やってくれたな、巻き込み婚
ヤバい、本気で怒ってやがる……そうだよな、誰だって変人扱いされたら怒るもんな。
でも朝から晩まで徹底して王子様キャラに成り切って、授業中まで戦闘ごっこしてたらそう思っちゃうだろ?! 俺は悪くない。うっかり目撃してるのがバレただけの被害者だ。
もう気まずくなるの覚悟で、突き飛ばして圭次郎から逃げるしかない――そう腹を括りかけたその時。
「すべての精霊に告ぐ……今この瞬間の証人となり、婚華の祝福を我らが手に宿したまえ……」
いきなり圭次郎が左手を上げて呟くと、その手に一瞬閃光が走る。
そして掴んでいる俺の手を強引に持ち上げ、薬指に何かを捻じ込んできた。
その手は左――指の付け根に、薄い金色の指輪が輝いていた。
合わせたように、圭次郎の左手薬指にも同じ指輪が嵌っていた。
「さあ……これでお前も俺と同じ側の人間になった」
「ど、どういう意味……?」
「後ろを見れば分かる」
言われるままに俺は振り返る。
今まで何もなかったハズなのに、辺り一面に広がる白煙。
フワフワと浮かぶ、色とりどりに淡い輝きを放つ野球ボールほどの光球。
圭次郎から伸びていている、火で編まれた鎖。それは煙の中でぎこちなく動こうとしている、極彩色な洋風の甲冑を着た男を縛り付けていた。
まさかこれ、圭次郎が今まで見てた世界……?
唖然となって激変してしまった光景を眺めていると、圭次郎から押し殺して笑う声が聞こえてきた。
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