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第9-1話厄介なものに絡まれてしまった

「詳しい話は後だ。まずはコイツをどうにかすることが先決だ」 「ぅぅ……ソイツ、なんなんだよ……?」 「今回俺たちが探しているヤツが送り込んできた刺客だ。こっちの人間を操り、俺たちの世界の武具を身に着けさせて襲わせてきたんだ」  えーっと……結婚しちゃったせいで、今まで見えなかったものが見えるようになっちゃったから――あ、全身タイツがなかったら、甲冑着てても裸にしか見えないのか。操られて身に覚えないのに……真っ裸なら逮捕案件だし、黒尽くめは真っ裸よりはマシだけど、校内徘徊しちゃってる時点で変質者確定なんだよな。  誰かは分からないけれど、この人も俺と同じ被害者なんだと思ったら泣けてくる。  心の底から黒尽くめ男改め、極彩の甲冑男に同情していると、圭次郎が俺を一瞥してから顎で後方を指した。 「ここは俺が食い止めておくから、保健室へ行って部下のソーアを呼んで来い」 「ソーア……? 保健室の兄ちゃん先生のことだな、分かった!」  俺は取り敢えず頷いて、言われるままに保健室へと猛ダッシュする。  少し離れてからチラリと振り返れば、甲冑男に対して圭次郎が火の鎖をさらにグルグルと巻き、火の勢いを強めているのが見えた。  ……もしかして早く呼びに行かないと、甲冑男が燃やされる……? 校内で焼死体なんか作ってくれるなよ!   嫌な想像が頭を過って、俺は全力で廊下を駆け抜けた。  廊下の突き当りを左に曲がり、体育館へ続く廊下の中ほどに保健室はあった。  ガラッ、と勢いよくドアを開けると、椅子に座って書類を書いていた百谷宗三郎が、驚いて肩を大きく跳ねさせた。 「ど、どうした? えっと……お隣の太智君、だよね? そんなに慌てて、ケガ人でも出ちゃった――」 「一緒に来て下さい! 早くしないと圭次郎が甲冑男を燃やしかねないので!」  唐突な登場に、突拍子もない話。俺の事情を知らない宗三郎先生は、眼鏡の下でしきりにまぶたを瞬かせる。  少しでも状況を汲み取ってもらいたくて、俺は左手の薬指に嵌められた指輪を見せながら告げた。 「俺、圭次郎と結婚させられて、色々見えるようになっちゃったんです。早く来て下さい、ソーアさん!」 「……えええええええっ! あ、わ、分か、りました、行きましょう!」

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