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第10-1話不思議工事でプライバシー消滅

   ◇ ◇ ◇ 「はぁぁ……ったく、なんだったんだよ今日のアレは……」  夜、風呂から上がって、ぼふんっと自室のベッドへ俺はうつ伏せに倒れ込んでぼやく。  そして一旦枕にため息をぶつけてから、左薬指で忌々しく輝くソレを見つめた。  どれだけ眺めても消えない指輪。圭次郎いわく、アイツらの世界の物だからみんなには見えないらしい。確かに悠やクラスメート、先生や母ちゃんからは一切指摘されないままで、その点だけは救いだ。  意識すると指を薄く締め付ける感触を覚えて、俺がアイツと婚姻してしまったあり得ない現実を突き付けてくる。  こんなの無効だろ! と必死で授業中に指輪を外そうと奮闘したが、回しても指先が滑るだけだし、上下に動かそうとしても微動だにしない。そんな俺の様子を圭次郎は隣でほくそ笑みながら観察していた。 「アイツ、ずっと観察して楽しんでた俺への仕返しかよ……性格悪ぃ……」  あのキレイで性悪な笑みを浮かべた圭次郎の顔を思い出した途端、沸々と怒りが湧いて俺は顔を引きつらせる。  巻き込むだけ巻き込んだクセに……後で説明するって自分で言っておきながら、休み時間も放課後もどこかに行っちまって話ができないって……うう、状況が謎過ぎて胸がモヤモヤする……っ。  視線を指輪から窓に移してみれば、百谷家の庭が光っていない。いつもならこの時間に光っているのに……もしかして誰も帰っていない? 俺を巻き込んじまった挙句に結婚なんかしちまったから、大騒ぎになってたりして――。 「本物の王子様だもんなあ。スゲーややこしいことになってそう……面倒クセー」  自室にいる安堵感で、あれこれ浮かぶ本音を漏らしていると、 「それについては同感だな。誰も俺には逆らえないクセに、自分たちの考えと違うだけで必死にケチをつけてくる……相手にするのは面倒極まりない」

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