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第18-2話止まらないツッコミ
俺の更なるツッコミに、ケイロとアシュナムさんの顔が険しくなる。
あ、ヤベ、言い過ぎたか? と焦っていたら、ソーアさんが息を呑んでから俺に尋ねてきた。
「あの、つかぬことをお聞きしますが、太智殿は軍略家なのでしょうか?」
「え? 普通の高校生だけど……」
「そもそも高等学校とは、如何なる所なのですか? 目的のために行ってはおりますが、高等と付くだけあって非常に複雑で広範囲のことを学んでいて、これが一般的だと未だに信じられないのですが……」
そっか……そうだよな。世界が違ったら学ぶことだって違うもんな。
思った以上にこっちの世界のことを分かっていなくて、こりゃあ大変だなあ……と少し同情してから、俺はふと気づく。
このままケイロたちに任せていたら、ずっと目的が果たせないんじゃあ……そうなれば俺が延々と離婚できなくて、ケイロなしじゃいられない体に――。
ぞわわわわっ。背筋に悪寒が走って、俺は自分の体を抱き締める。
学校内でケイロたちに関わっていたら、もれなく俺も変人に見られるかもしれない。でも放置すればロクなことにならないのは目に見えている。このまま部外者を貫くワケにはいかなかった。
「ケイロ、俺も協力する。あと、今から取り繕っても遅いかもしれないけど、できる限りこっちの世界のことを教えてやる。だから一日も早くなんとかしてくれ」
俺としては切実な申し出。ケイロはニヤリと笑ってから、満足げに頷く。
「殊勝な心がけだな。もう俺の妻としての自覚が出てきたか」
「違うっ、離婚するために決まってるだろ! 自覚なんてあってたまるか!」
心からの思いをぶつけているハズなのに、それでもケイロの満足し切った表情は崩れることがなかった。
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