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第19-1話アドバイザーは啼かされる運命
こうして俺はケイロたちのアドバイザー的なものになった。
話を聞いてみれば、彼らなりにこっちの世界のことをよく調べていた――まさか異世界からネットを繋いで検索できるとは思わなかった――が、だからこその弊害もあった。
検索して上のほうに出てくる情報や、より多くの人が触れている内容が一般的という認識だったらしく、だからこその弁当=キャラ弁、可愛い容器や袋という認識になったらしい。
そりゃあ凝っていない弁当をネットにアップする人間は少ないよな。昨日の残りもの詰めたり、手っ取り早く野菜炒めで済ませたり、なんて日常のよくあることよりも、特別で華やかなものを全力でアピールしたいだろうし。
あとレビューや評価が良いからといって、それが良いとは限らないし、普通じゃない場合もあるということを教えたら、「じゃあ何を信じれば良いんだ……」とアシュナムさんとソーアさんが頭を抱えていた。
教えながら、うんそうだよなー、まったく何も知らない人が取っ掛かり掴もうとしたら、より多くの声が上がっている情報に目を向けるよなあ……なんか厄介な世界でごめん、と申し訳ない気持ちになっていた。
ケイロは「だから一般の声を聞き過ぎるなと言っただろうが」と我が道を行く発言をしていたが、「お前は聞かなさ過ぎて、自分が思っているより滑稽なことになってるからな?」と言ってやったら押し黙ってしまった。
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