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第20-2話強請られた愛妻弁当
一応かあちゃんに仕込まれて、簡単な料理はできる。でも普段から作ってるワケじゃないから本当に大変だった……。
そんな俺の苦労に気づいているかどうか怪しいケイロは、どこか自慢げに笑いながら弁当を出した。どこにでもあるような青い巾着に入った、二段重ねの黒い弁当箱。俺がたまに使っているもの。自分の弁当が今日は自分用じゃないという光景が不思議だ。
それに対して俺の今日の昼飯は、かーちゃんが用意してくれた昨日の残り物スペシャル。いつもは今日も手抜きか……と思うところだが、詰めるだけでも案外と面倒だと身に染みて分かったせいで、かーちゃんありがとう! と心の底から感謝した。
中身は別々。バレることはないだろうと高を括っていた俺だったが、
「あれ? 百谷君のお弁当箱と袋、太智が持っているのと同じ……?」
小学生の頃からの友人で一緒に昼飯を食べ合っている悠が、目ざとく指摘してくる。
思わずヤバ……ッと俺の視線は泳いでしまったが、ケイロは平然とフタを開けて食べ始めていた。かすかに「……美味いな」と呟いた声が聞こえてきてしまって、危うく顔が緩みそうになってしまった。
こんな時に喜ばせてくるな……バカ野郎。
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