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第21-1話関係を持って分かるようになったこと

「近所の店で購入したから、そのせいで被ったんだろう。コイツと一緒というのは気に食わんが、既製品ならば仕方ない」 「うーん……でも、そこそこ使い古されたというか、くたびれ感があるんだよなあ……」  悠、お前案外と細かく見てるのな?!  このままだと俺とケイロが不本意ながら深い付き合いに発展していることに気づきかねない。さっさと話を流してしまおうと、俺は話を切り替えた。 「な、なあ悠、今度の球技大会、お前どれに参加する?」 「一応サッカーを考えてるよ。太智は? 自分の部活以外の球技選ばなくちゃいけないから、野球以外になるだろうけど……」  俺も悠も野球部に所属している。毎度県大会では結果を残せないけれど、楽しくテキトーにやれるからありがたい。  弁当の肉じゃがを一口食べてから、俺は悠の質問に答える。 「俺はバスケやってくれって言われてる。本当は俺もサッカーやって、ゴールキーパーになって休みたい」  どうにか話を逸らせたと安堵していると、事情を一切知らない悠はケイロへ話を振る。 「百谷君は身長が高いから、バスケ強そう。前は部活何やってた? やっぱりバスケ部で球技大会は別の種目になっちゃうかなあ……」  ケイロの箸が止まり、表情が消える。前までは何を怒っているんだ? って思ったけれど今なら分かる。平静を装いながら、実はかなり戸惑っている時の顔だ。

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